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福島そうそうプロジェクト

ー地震、津波、福島第一原発事故の影響を受けた福島県沿岸部の相双地区でのこころのケア活動ー

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冊子「福島のこころのケア:実践と教訓」、東日本大震災被災地支援 提言書「福島のこころ」はこちら

活動記録映像「東日本大震災から5年」はこちら

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2011年3月11日、東北地方を襲った過去に例を見ない複合型大災害は多くの人命を奪い、そして人々の生活をも破壊し、その地に甚大な被害をもたらしました。

世界の医療団(Médecins du Monde:MdM)日本は震災発生直後より情報収集を開始、精神科医、看護師、臨床心理士、ロジスティシャンなどからなる医療チームを被災地に派遣し、被災地にて避難所、仮設住宅、自宅、病院などでの精神サポートと基礎医療支援の活動を行いました。2011年4月から3年半にわたり岩手県大槌町にてこころのケア活動「ニココロプロジェクト」、「岩手県医療システム復旧プロジェクト」を実施しました。

©MdM Japon



福島そうそうプロジェクトの立ち上げ


地震、津波、原発事故の3つの影響を受けた福島県相双地区(南相馬市、相馬市、双葉郡)では、病院や薬局などが閉鎖されるなど医療の提供が途絶え、精神科医療についてはすべての病院、クリニックが休診、閉鎖となる状況に陥りました。
継続した治療を必要とする患者さんのため、そしてこの危機に直面しこころのケアを必要とする被災者のため、福島県立医科大学こころのケアチーム主導のもと2011年11月NPO法人「相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会」(以後、なごみ)が結成されました。
当地の精神科医療の空白を解消するため、2012年2月に「福島そうそうプロジェクト」を立ち上げ、MdM日本は同会の活動パートナーとして、精神科医をはじめとした専門家を派遣、医療機器や福祉車両の提供等を行っています。


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こころのケア


こころのケア 災害後、被災者を襲う寂しさ、孤独感、悲しみなどは、被災者のこころに大きな影響、ダメージやストレスを与えます。それは子どもから大人まで、目に見える形で、そうでない形で、被災者のこころや身体に影響を与えていきます。福島の相双地区では、日本では誰もが経験したことのない原発事故というかつてない危機に直面しました。誰ひとりとして先は見えず、それは終わりのみえない苦難のはじまりであり、支援する側を含めてこころのケアが必要とされていました。私たちは、なごみとともに長期的な支援を見据えて、こころのケア活動をスタートしました。





時が経つにつれ、当初からの課題に加え、新たな問題が浮上、被災者を取り巻く状況は複雑化しています。震災から6年、現在では急激な高齢化、仕事など役割の喪失、家族分離、帰還する、帰還せずとも復興災害住宅に入るなど仮設やこれまで生活していた場所から住み替えることによる環境の変化、コミュニティの解体、賠償金のあるなしによる軋轢、みまもり機能の低下、子どもたちへの心理的影響、いじめ問題など様々な要因が幾重にも重なる現状があります。
治療や活動の裨益を提供するにとどまらず、こうした苦しみを可視化し、現状を発信し続け、この問題を風化させず社会に提示し続けていくこと、それがMdM日本が取り組む「こころのケア」です。


私たちの役割


精神科医の派遣のほか仮設住宅や復興住宅などでのサロン活動やアウトリーチ活動への看護師や臨床心理士の派遣、母子を対象としたカウセリングや小中学校でのスクールカウンセリング、教職員への助言活動、講座開催などを実施しています。
住民のニーズを知ること、声を聞くこと、つながりを作ること、一人ひとりの選択と時間を尊重すること、これらはみな、この活動に携わる医療ボランティアの声から共通するものです。

震災以前から、また被災により精神科医療が必要となった被災者への治療にとどまらず、地域のみまもり機能として、地域をつなぐその一翼となるべく、地域のニーズに沿った支援を、現在も、そして今後も続けてまいります。

*この活動のための資金の多くはジャパン・プラットホーム様「共に生きる」ファンドより、ご提供いただいております。



「福島のこころのケア:教訓と実践」2019年3月発行


7年にわたる福島県相双地区での協働の経験によって編み出された包括的なこころのケアのノウハウとパートナーシップの教訓を広く共有する目的で、冊子「福島のこころのケア:実践と教訓」を発表します。
※プレスリリースはこちらから

↑こちらからご覧いただけます。

執筆・編集・発行
世界の医療団
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ)



東日本大震災被災地支援 提言書「福島のこころ」


住民のニーズを知ること、声を聞くこと、つながりを作ること、一人ひとりの選択と時間を尊重することを軸にしたこころのケアが、今、福島の人々の強い回復力と行政の支えによって新しい地域社会の創造につながるよう、3つの提言をここに発信します。

↑こちらからご覧いただけます。



活動記録映像「東日本大震災から5年」


3.11から5年の節目に、福島の状況と世界の医療団の活動を映像にまとめ、発信しました。



©Kazuo Koishi




現地活動レポート一覧


2019.09.17:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート21|小綿 一平|精神科医

  震災直後から福島で活動を続ける小綿医師、震災は過去のものではなく、今、ここで起きていることだと話します。
なぜ活動を続けるのか、重層的で複合的な人々のこころ、9年目の活動から思うことを綴っていただきました

2019.06.18:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート20|大川 正祐|福島そうそうプロジェクト コーディネーター

  富岡町は避難指示が一部解除されていますが、帰還後も生活に様々な支障を抱えていると感じました。世界の医療団の活動は、住民に対するこころのケアを継続しつつ、自治体の職員、社協の生活支援相談員、NPOのコミュニティ相談員に対する「支援者支援」へと移行しつつあります

2018.04.09:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート19(富岡町)|玉手 幸一|コーディネーター

  福島県双葉郡富岡町、一部の帰宅困難地域を除き、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2017年4月1日に解除されました。2018年4月には、小中学校も7年ぶりに再開、帰還後の新たな生活が始まっています

2017.09.28:東日本大震災:福島そうそう現地活動レポート18|玉手 幸一|コーディネーター

  2017年4月に一部帰還困難区域を除き避難指示が解除された浪江町。帰還者数は5%にも満たず、街には人影があまり見られません。町と住民が直接対話し、新しい浪江を創る、そんな希望を感じることができたサロン活動でした

2017.02.03:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート17|小綿 一平|精神科医

  私は東日本大震災後世界の医療団「福島そうそうプロジェクト」の一員として、震災の翌春から月に1回「メンタルクリニックなごみ」(相馬市)で外来診療を主として支援活動を続けています

2016.10.20:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート16|増田 利佳|看護師

  今回は、福島県相馬市にある仮設住宅、復興住宅でこころのケア活動を続けている増田利佳看護師のレポートをお届けいたします

2016.05.11:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート15|小松原 ゆかり|健康運動実践指導者

  今回は、直近での避難指示解除が予定されている福島県南相馬市小高地区の集会所で、帰還住民のために健康運動実践指導者として活動している小松原ゆかりのレポートをお届けいたします

2015.11.02:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート14|玉手 幸一|コーディネーター

  世界の医療団の活動地域である南相馬市には、福島から飯舘村を経由して南相馬市に入ることが多く、車で約1時間40分ほどかかります。10月中旬、活動のため、いつものとおり飯舘村を通ったところ、写真のように季節外れに咲いたひまわりの花を見つけました

2015.10.01:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13|横内 弥生|臨床心理士

  南相馬市で、こころのケアを担当している横内弥生臨床心理士の活動(第2回)レポートをお届けいたします

2015.09.01:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート12|横内 弥生|臨床心理士

  今回は、南相馬市で、こころのケアを担当している横内弥生臨床心理士の活動レポートをお届けいたします。レポートは2回に分け、今回はその第1回レポートをお届けいたします

2015.02.27:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート11|増田 利佳|看護師

  今回は、協働している「相馬広域こころのケアセンターなごみ」の相馬事務所で、こころのケアを担当している増田看護師のレポートをお届けいたします

2015.01.19:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート10|浅井 このみ|臨床心理士

  協働している「NPO法人 相馬フォロアーチーム」では、相馬市内の被災小中学校でのスクールカウンセリングを行っており、世界の医療団も、こころのケア事業の一環として、この活動に参加しております。今回は相馬市内の小学校で活動している浅井このみ臨床心理士のレポートをお届けいたします

2014.07.31:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート8|落合 庸子|看護師

  今回は、協働している「相馬広域こころのケアセンターなごみ」の南相馬事務所でこころのケアを担当している落合庸子看護師のレポートをお届けいたします

2013.10.08:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート6|玉手 幸一|コーディネーター

  今回は、浪江町 健康保険課が行っている「浪江町かもめっ子in南相馬」に協働している「相馬広域こころのケアセンターなごみ」を通じて、臨床心理士の加藤優子と参加した支援活動レポートをお届けいたします

2013.08.29:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート5|小綿 一平|精神科医

  世界の医療団が恊働している「メンタルクリニックなごみ」は、福島県相馬市の中心部に位置します。震災後、福島県立医科大学医学部神経精神医学講座などが中心となって設立したNPO法人が支援して開設にこぎつけた市内唯一のメンタルクリニックです

2013.07.16:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート4|佐藤 綾子|臨床心理士

  今回は、福島県相双地区(南相馬市、相馬市、新地町)で世界の医療団から派遣している臨床心理士のレポートをお届けいたします

2013.03.26:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート3|神山 友里|看護師

  大震災から丸2年目を迎える2月末、今回も福島県相馬市の仮設住宅のサロン活動に参加

2012.12.21:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート2|神山 友里|看護師

  福島県相双地区(南相馬市、相馬市、新地町)で世界の医療団から派遣している看護師のレポートその2をお届けします

2012.05.17:東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート1|玉手 幸一|コーディネーター

  津波によってCT装置が破壊された岩手県立大槌病院と岩手県立山田病院にCT室を建築するための工事が始まって1ヶ月、今回は工事の進捗状況をレポートいたします

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