東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート6

今回は、浪江町 健康保険課が行っている「浪江町かもめっ子in南相馬」に協働している「相馬広域こころのケアセンターなごみ」を通じて、臨床心理士の加藤優子と参加した支援活動レポートをお届けいたします。

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート6
福島県双葉郡浪江町は、避難指示解除準備区域(20ミリシーベルト/年以下)、居住制限区域(20ミリシーベルト/年超 50ミリシーベルト/年以下)、帰還困難区域(50ミリシーベルト/年超)というエリアが混在し、いまだ全村避難が続く地域で、多くの住民は二本松市や郡山市、南相馬市などの仮設住宅や借上げ住宅に避難されています。

かもめっ子クラブは、浪江町の方が長期避難生活する中で地域における被災地の孤立化が問題になっている乳幼児を持つ親子に対して、親子が楽しみながらあそび、同じ地域に住んでいた保護者たちと交流することで、子育ての悩みを相談・共感できる仲間をつくる事を目的としたサロン活動です。

浪江町のかもめっ子クラブが9月21日に南相馬市で初めて行われ、当日は親子9組(大人9人、子ども16人)が参加しました。

親子一緒に3B体操(ボール、ベル、ベルターの用具を運動の助けとして使用しながら、全ての 動きを音楽に合わせて集団で行う健康体操)の先生の指導のもとで元気いっぱい身体を動かしたり、新聞紙を破って丸めてボールを作って遊んだりしました。

母親同士のおしゃべりでは、派遣した加藤臨床心理士を交えて子育ての悩みを相談、サロンで何をやりたいか、ストレス解消などの話で交流を深めている様子がみられました。

今までも避難区域に暮らす双葉郡の元住民の親子を対象とした会がありましたが、今回は浪江町の住民のみで開催したいという健康保険課の強い要請があり、浪江町の住民と支援者だけのサロン活動となりました。

やはり同じ浪江町住民同士ということだけで、母親同士はリラックスし、本音を言い合える雰囲気となるようで、原発事故により避難した双葉郡の住民、というひとくくりで考えてしまう支援者の感覚ではダメと、気づかせていただきました。

被ばくへの心配があるためか、子どもたちは屋外で遊ぶ機会が極端に少ないらしく、結果、いつも母親にまとわりつく、という現象が見られるようです。また、母親たちも、知人の少ない土地で、表に出る機会も少ないとのことで、その意味では、母親がある時間、子どもたちから解放され、同じ事情を共有する母親同士のおしゃべりの会となったようで、多くの母親から継続の要請が集まりました。

今後も「浪江町かもめっ子in南相馬」の活動について課題を共有し、親子のこころのケア支援活動を継続できればと思います。

玉手 幸一
福島そうそうプロジェクト コーディネーター

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。