東日本大震災:福島そうそうプロジェクト現地医療活動レポート2

福島県相双地区(南相馬市、相馬市、新地町)で世界の医療団から派遣している看護師のレポートその2をお届けします。

東日本大震災:福島そうそうプロジェクト現地医療活動レポート2
震災から1年9ヶ月が経過した最近では、仮設住宅を出て行く方が徐々に増えてきています。

仮設住宅を出ることが皆さんの目標の1つだと思っていましたが、そこには複雑な思いがあるようです。

津波で家を流されてしまった方の中には、同じところに家を建てることができず、新たな土地に新居を構えなければならない方が数多くいます。

仮設住宅の様に常に周囲に気を使うことなく、自分の家に住むことができるのは嬉しいことですが、やっと関係性を築き、気軽におしゃべりできる相手も見つかった仮設住宅を出て、新しいところには周りにどんな人がいるのかわからないその状況で、また一から関係を築いていかねばならないということは、非常に大きな不安要素でありストレスであると漏らされていました。

さらに今後も複雑化してくるであろう気持の変化を受け止め、皆さんが新たなストレスと向き合っていけるよう関わっていきたいと思います。

また、仮設住宅を出て行く方が徐々に増えているその一方、原発事故が原因で非難している方達の仮設住宅では、さまざまな設備が徐々に整ってきています。

この「長期化」を前提とした対応に、住人の皆さんの不安感が、日に日に増しているというのが現状です。被災地ではまだまだサロンが必要な状況に変わりはないと感じます。

私達は震災を無かったことにはできないし、今の仮設住宅というハード面を変えることはできませんが、サロンという場が、一人で抱え込んでいる思いを吐き出せる場であったり、一人ではできないことができたり、何かに夢中になることで、その間だけでも嫌なことを忘れて笑い合うことができる場であって欲しいと思い活動を続けて参りました。

活動対象地域のひとつである新地町の仮設住宅では私達が開催しているサロン(月1回)をきっかけに、毎週自主的にお茶会が開催されるようになりました。それは私達がサロン活動を行う意味・必要性があったということであり、素直に嬉しく、住民の方にとっても必要な場所となると思います。  何かを始めてこうというパワーが住民の方々から出てきたという証でもあり、皆さんが少しずつ前へ進んでいるということではないかと感じます。

住民の方々は体の調子が悪いと、それにつられて気分も沈み、家にこもってしまいがちで、これからますます寒さが厳しくまる為、風邪を引いたり、体調を崩さぬよう、個人個人の話を聞き、それぞれに必要なアドバイスをしていくことが、皆さんの心の健康にも繋がっていくのではないかと思います。

サロン活動を通じて私にできるひとつひとつのことが、皆さんの一歩一歩に繋がることを信じ、これからも支援活動を続けていきたいと思います。

看護師 神山 友里

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。