スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート

形成外科手術を必要としながらもその機会に巡り合うことのない患者たちに手術を行う「スマイル作戦」。
世界の医療団日本は、8月にマダガスカルにて「スマイル作戦」を実施しました。去年出会った患者さんの笑顔を取り戻したいと、今年も参加した新井朋美看護師のレポートです。

スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート
今年で10年目を迎えるマダガスカルのミッションに去年に引き続き、形成外科医の与座医師と一緒に向かった。8月1日の午後6時の飛行機で成田を出発。タイ、ケニアを経由する20時間以上のフライトの後、翌日の午後4時にマダガスカルに到着した。マダガスカルの首都アンタナナリボの空港から車で約1時間の所にある病院に到着し、先に到着し、診察を終えていた フランスチームと、病院の駐車場で合流となった。

スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート
ミッションの1日目は全国から集められた患者の診察を行い、手術の順番を決めていく。今年は70人以上の患者が集まり、そのうち42人の手術が行われる事となった。私たち日本チームは2日目からの参加で診察はフランスチームが行っていたので、どのような患者の手術を行うのだろうと不安もあったが、長旅と時差の影響でその日は倒れ込むようにベッドへ向かった。

スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート
手術室のドアには、その日に行われる予定の手術の情報が貼ってあり、その用紙を確認しながら手術に必要な器械の準備をしなければならない。手術のほとんどが口唇裂・口蓋裂の手術で、先進国では生後間もなく手術を受けるが、マダガスカルには手術が出来る医師が少ないため治療が出来ないまま成長する人がいる。口唇裂・口蓋裂の子どもの中には、いじめられたりする子が多く心理的な問題を抱えていることもある。口唇・口蓋裂などの先天性の異常や、事故などの後天的な機能および外見上の障害に対して手術を行う「スマイル作戦」。

スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート
この子の笑顔を取り戻したいと強く思ったのが、Rinaという患者との出会いだった。彼女に会ったのは去年。口唇裂・ 口蓋裂の治療を行う予定で病院に来ていた。彼女は無表情で両親も暗い顔をしていた。手術は無事に終わったが、もう少し治療が必要ということで今年も手術を受ける事となっていた。年齢が自分と近いこともあり、彼女の無表情が忘れられず、この1年気になって仕方なかった。しかし、今年、彼女は現地スタッフと楽しそうに話をしながら笑顔で手術室に入って来たのだった。そして私のことも覚えていてくれて、恥ずかしそうに微笑んでくれた。手術は無事に終わり、帰国日の診察の後も笑顔で手を振ってお別れをすることが出来た。去年のあの悲しそうな表情からは考えられない程の彼女の笑顔。私は彼女の笑顔を見ることが出来てとてもうれしく思う。

スマイル作戦 マダガスカル2015 現地レポート
今回も大きなトラブルなく5日間のミッションを無事に終えることができた。手術を受けた子どもだけでなく、その家族も笑顔になり私まで笑顔にしてくれる。そして、この子たちの笑顔が私の看護師としての活力となる。

看護師 新井朋美

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