世界難民の日によせて-World Refugee Day

979年、国を逃れ海をさまよう2,564名のベトナム難民に医療支援を提供し、その窮状を証言するために行った「光の島号プロジェクト」。
それが世界の医療団の始まりです。
以来、医療支援を提供するだけではなく、人権侵害を証言していくことが私たちの行動原則のひとつとなっています。

世界難民の日によせて-World Refugee Day
40年近く経った現在、紛争、政情不安、差別、迫害、弾圧、自然災害など国を追われる理由は多様化し、そして難民を取り巻く問題は世界中に広がりをみせ、今世紀最大の危機といわれるまでになりました。
過酷な環境下で各地で滞留する難民、逃れるその旅路で命を落とす難民が後を立たず、その多くが子どもです。
いまや国際社会が一丸となって取り組むべき課題ですが、一向にその解決の糸口さえつかめずにいます。

その影響は各国の政局にもインパクトを与える要因にもなり、混迷を極めるばかりです。難民ひとりひとりにそれぞれの人生と希望があり、それはボートの転覆やキャンプでの凍死などで失われてしまってはならないものです。

世界の医療団は、難民キャンプで、海上で、国境沿いで、支援を提供し、そこにある窮状を伝え、国際社会に訴えてきました。世界中で難民問題は、何ひとつ改善も解決もされていません。

日本ではなかなか想像しにくいことかもしれません。世界の難民の日に寄せて、今起きている危機と世界の難民に思いを寄せていただく機会になれば、そして私たち世界の医療団はこれからも難民の困難と向き合い続け、活動してまいります。

世界難民の日によせて-World Refugee Day

世界の難民の数は6,530万人。


全ての難民のうち54%をシリア(490万人)、アフガニスタン(270万人)、ソマリア(110万人)の3ヶ国からの出身者が占めている。
(UNHCR, Global Trends Report,2016)

芸術を通して自らの声を世の中に伝えたいーギリシャ・難民たちのアート展

シリアの混迷と難民


2011年、中東の民主化要求運動「アラブの春」に端を発したシリア紛争が始まりました。激化する戦闘は出口が見えないまま、この危機は7年目を迎えました。人口の半数は家を失って彷徨い、1,350万人が人道的支援を必要としています。そのうち、半数以上が子どもと若者です。

戦火にみまわれた祖国・シリアを何とか逃れた人々は、ただ「安心して暮らしたい」という望みとわずかな身の回りの品を持って海を渡り、遠く離れたヨーロッパで“難民 ”として暮らしています。UNHCRは今年3月、シリアから国外に逃れた難民の数が500万人を超えたと発表しました。その数は、2012年当時のシリア総人口2240万人の4分の1に相当します。

トルコやヨルダンなどの周辺国をはじめ、ヨーロッパ各地の難民でキャンプや各種支援組織の対応能力は限界を超えており、食料や医療などが恒常的に不足しています。キャンプに入ることのできない難民たちは、廃屋寸前の建物で雨風をなんとかしのぐような生活です。恐ろしい暴力の記憶、先が見えない難民生活…。過酷な日々に、難民の体も心も蝕まれています。

世界難民の日によせて-World Refugee Day

難民はシリア/中東地域だけではなく、アフリカ地域からも


気候変動による食糧不足や政情不安などに慢性的に苦しむアフリカからも、多くの難民がヨーロッパに逃れてきています。UNHCRによれば、2011年には260万人程度だった難民が、2016年には500万人近くにもなっています。

難民の出身国で上位3カ国に入っているソマリアは、極度の貧困、治安の悪化や性暴力の横行などから、国を脱出する人が増えているのです。周辺国に避難しても、食糧や安全な生活環境が得られないため、さらに遠くヨーロッパを目指すアフリカからの難民が急増しているのです。

世界難民の日によせて-World Refugee Day

世界の医療団の難民支援活動


■シリア国内


一般市民をも巻き込んだ戦闘が続くシリアでは、国内に暮らしている人々の60%が医療を必要としています。2012年10月より、シリア北西部のイドリブの医療施設、移動クリニックの運営のほか、その他の地域においてパートナー団体との連携のもと、医療施設をサポートしています。
治療に必要な医療機器や医薬品、消耗品などはトルコやヨルダン経由で供給しています。
一般市民や医療施設などを標的とする非人道的な攻撃が続く厳しい状況ですが、世界の医療団は活動を続けています。

<<これまでの活動レポート>>
6/8 シリア系米国人医療協会、世界の医療団、シリア・ダルアーの医療施設の緊急保護と人道支援の介入を要請
4/7 シリア: 人類に対する犯罪を私たちは強く非難します
2/6 シリア:医療の崩壊とその歴史を塗り替えた痛ましい2016年

■ヨーロッパ地域


難民たちは、海を越えてまずはギリシャに上陸し、そこからヨーロッパ各地を目指します。世界の医療団は、難民キャンプ内での医療支援活動や証言活動などにネットワーク全体で取り組み、難民の行く先々で支援を続けています。

ギリシャ
シリアやアフリカから海を渡ってヨーロッパを目指す際、玄関口となっているのがギリシャです。世界の医療団ギリシャは、ギリシャ本島だけでなく、レスボス島、ヒオス島、チロス島などの諸島地域でも活動しています。診療所の運営のほかにも、同伴者を持たない幼い難民たちのサポートや、劇や絵画を通したメンタルヘルスケアなどを行い、難民たちの様々なニーズに、物資と精神の両面から精力的に対応しています。

<<これまでの活動レポート>>
芸術を通して自らの声を世の中に伝えたいーギリシャ・難民たちのアート展
ドキュメンタリー:「私の名前は『難民』じゃない」
ギリシャ:本当に必要な難民受入れ危機への取組みを

フランス
難民や移民を対象とする医療支援の活動範囲は、世界の医療団が運営するヘルスセンターを中心に、パリやフランス北部の仮設キャンプにも及んでいます。

ドイツ
医療保健に加入していなければ、ドイツに住む難民や移民にとって高額な医療費を払うことは不可能です。このため世界の医療団は、ミュンヘン、シュトゥットガルト、ハンブルグにクリニックをオープン、無料のヘルスケアサービスを提供しています。

イギリス
ロンドンとブライトンのドロップ・イン・クリニック(誰でも気軽に立ち寄ることのできるクリニック)で移民や難民を支援しています。市中の主要な医療施設を利用出来ない難民を対象に、ボランティアの医師や医療スタッフが生活支援や医療支援を実施しています。最近、妊婦や幼い子供を持つ家族を対象に、専門医によるクリニックをオープンしました。

<<これまでの活動レポート>>
ブルガリア・ハルマンリ難民キャンプの今:学校は?医療は?難民たちが、一番望んでいることは?
パリ市内初の難民受入れセンターが開設
フランス・カレー難民キャンプ:世界の医療団とユニセフ、子どもたちの保護を英仏両政府に要請


「治療」と「証言」。それが、世界の医療団の難民支援活動


私たち世界の医療団には、2つの使命があります。「治療」と「証言」です。 「治療」は、病気やケガを負った人々に対し治療をし、医療行為をすることで直接命を救う支援です。たとえば、難民キャンプでは「プライマリヘルスケア」、「母子保健」、「メンタルヘルスケア」、「衛生キットの配布」など、ニーズにあわせた多岐にわたる医療支援活動をしています。 そして、「証言」も私たちは大事な活動として取り組んでいます。「証言」とは、このような不公正さ、理不尽さが世界にあることを皆様にお伝えし、状況を打開するための活動を一緒にしていただけるよう働きかけることです。

どうか、今日の世界難民の日に際し、難民たちに思いを寄せ、共に活動をする日としてください。皆様お一人おひとりのご協力、ご支援を必要としています。


ご支援のお願い


<<難民たちの生活を支えるためにできること>>
3,000円=風雨をしのぐためのテント1張
6,500円=1人分の治療や看護の費用
10,000円=救急キット8セット

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