今年8月25日でミャンマー軍の迫害により70万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れてから早9年となります。昨年、同じ書き出しをしてから、そのまま1年が経ってしまいました。
残念ながら、彼らの故郷であるミャンマー・ラカイン州ではミャンマー軍と地元武装組織であるアラカン軍との戦闘が継続しており、アラカン軍が同州の大半を掌握しています。アラカン軍もミャンマー軍もロヒンギャを迫害し続けており、ロヒンギャ難民がとても帰還できる状態ではありません1。
他方、このようなラカイン州の情勢やバングラデシュのキャンプでの先の見えない生活を嫌気し、宗教的に親和性をもつイスラム教徒が多いマレーシアでのよりよい生活を求めて多くの人々が危険な海上渡航を試みます。昨年(2025年)のみでも6,500人以上が海上に出、約7人に1人が行方不明ないし亡くなったと見られます2。加えて、今年に入ってからもすでに800人ほどが行方不明ないし犠牲となったと言われています3。運よくマレーシアに着いても、同国でもロヒンギャへのヘイトが高まっており、5千人をミャンマーに帰すなどという発表もなされました4。
難民キャンプでは援助資金不足によって社会福祉・教育・経済サービスが縮小し、診療所閉鎖などが起こっています5。
相変わらず先が見えない現状です。このような状況については今月30日に上映する世界の医療団も取材協力を行った映画「ロストランド」6や、先日、出版されたばかりで、こちらも世界の医療団も取材協力した小説「「0825」に私たちは殺され続ける あるロヒンギャ夫婦の物語」7によく表されています。このイベントでは監督と著者をお招きし、詳しいお話を伺います8。
約120万人が住むキャンプがせめて不当に迫害され続けている難民が安心して暮らせる「居場所」でなければなりません。世界の医療団は現地提携先NGOと協力し、キャンプ内に診療所を開設しました9。多くのロヒンギャの人々が受診に訪れます。微力ながら、彼らが人権として保健医療サービスにアクセスし、健康を維持・増進し続けることを支援していきます。
1 たとえば最近の情勢については下記を参照。ただし、遺体の映像も出てくるので要注意:
How Myanmar’s war drives the Rohingya crisis | Investigation | Al Jazeera
2 UNHCR: 2025 was deadliest year yet for maritime movements of Rohingya refugees | UNHCR
3 More than 500 missing after two refugee boats vanish off Myanmar coast, UN agencies say | CNN
4 たとえば Rohingya refugees from Myanmar are living in fear in Malaysia
5 たとえば Rohingya camps face shrinking healthcare amid funding crunch | The Business Standard
6 映画『LOST LAND/ロストランド』公式サイト
7 「0825」に私たちは殺され続ける あるロヒンギャ夫婦の物語/今泉 千尋 | 集英社 ― SHUEISHA ―
8 映画『LOST LAND/ロストランド』上映会&トークイベント – 国際協力NGO 世界の医療団
9 ロヒンギャ難民キャンプで非感染性疾患専門診療所を支援 – 国際協力NGO 世界の医療団