世界の医療団派遣・精神科医インタビュー~外からは優しく見守ること、 必要であればサポートすることだと思います~

世界の医療団から派遣された精神科医師の方がインタビューに応えてくださいました。その方は東日本大震災の現地医療活動プロジェクトのメンバーとして、大槌町や福島の活動に参加いただきました。現在はフィリピンでの支援活動プロジェクトに参加しています。

(ご本人の希望により、今回は匿名でのインタビューとさせていただきます)

東日本大震災:現地医療活動レポート2

◆世界の医療団で活動することになったきっかけを教えてください。

以前からヒューマニタリアな活動をしてみたいと思っていました。世界の医療団については、ホームページを拝見し情報収集をしていました。いつ世界の医療団に連絡をしようかなとタイミングを見計らっていた時に東日本大震災があり、「今しかない」と思いました。日本の中で活動しているNGOはたくさんありますが、世界の医療団が他の団体と比べて一番大きく違うのは、「ニュートラルなポジションで活動している」ことです。政治的、宗教的にも中立な立場だということ、また、私が所属していた他のNGOと比べて「若干規模が小さい」ことも気に入りました。

東日本大震災:福島そうそうプロジェクト現地医療活動レポート1

◆2011年4月~6月のニココロプロジェクト派遣時の話をお聞かせ下さい。

2011年3月11日の東日本大震災の後、4月からプロジェクトに参加して最初に岩手県の大槌町に行きました。報道では見ていましたが、実際に見て話をするのとは全く違いました。現地に着いてまず状況把握をして、他のチームと協力しながらできることを考えました。行政の方が一番時間を割いていたのは 、ボランティアで来る方々への対応です。さらに現地に入っている 団体とのコーディネイトをしたり、毎朝ミーティングもされていたので、私たち現地に入る側もそういうことを知った上で、横の繋がりが重要になると思いました。
最初の頃の大槌の方たちの一番の悩みは不眠でした。それは当然のことで、避難所で隣同士全然知らない人が寝ていたり、いびきがうるさかったり、夜中までおしゃべりしていたり、そんな中で普通に寝られる方がすごいんです。
実際に治療するにあたっての課題は、「私たちが待たなければいけない」ということでした。皆さんショックを受けていて、話す準備がまだ出来ていない方もいらっしゃるので、それを「待ってあげる」ことが重要でした。そういう方たちはご近所とか友人には話をしていたり、各地から来ている保健師さん達がそういうところを汲み取るのが上手でしたので、保健師さんたちと協力しながら活動することが効果的でした。 一方現地の保健師さんたちも被災者なので、休みながら働いてもらいました。

東日本大震災:福島そうそうプロジェクト現地医療活動レポート3

◆2012年1月~3月の福島派遣時の話をお聞かせ下さい。

福島には012年1月に入りました。私が行った場所は震災の後に建てられた、世界の医療団のパートナー団体「メンタルクリニックなごみ(福島県相馬市)」です。元々ワーカーさんと看護師さん が中心になって建てたところの1階がクリニックで2階がアウトリーチチームです。アウトリーチチームもクリニックも往診はしていません。
同じ被災地でも、時期と場所によってニーズがだいぶ違います。大槌は「津波」後に、これからどういった形で仕事も含めて生活を立て直していくのかということか課題ですが、福島は「原発」です。原発に対する不信、それに伴う将来への不安。見通しのつきにくい、とても長いスパンで取り組まなければならない課題です。
クリニックの中で働いている分には、東京のクリニックで働いているのと話す内容としてはあまり変わりません。震災から1年経って、みなさん同じ課題だったところから将来を考えるようになった時に、学校や仕事、住居等、ロングスパンのことで悩むようになったと思います。原発の課題は何十年も長く続くものなので、皆さんそれは覚悟して戻ってきたということなんですね。戻ってから時間も経っているので、日常のこと、仕事上のトラブル等が主な内容です。


東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート6
◆現地において、精神医療は一般的でない等の印象はありますか。

福島でも隣町まで行けば大きな精神科の病院があります。そこに入院する人もいれば、私が看た患者さんを、ワーカーさんに間に入ってもらってそちらの病院に紹介するということもありました。
大槌にしても、精神科に対する敷居は低くなっているように思います。現地に入った当初はあまり精神科医だということをおもてだって言っていませんでしたが、私が精神科医だということを知ると、「実は私、精神科にかかっていたんですが、この薬ありますか」と言われたりしました。実はそこまで抵抗はない感じです。保健師さんがうまくアプローチしてくださったのもあったかもしれないですね。


◆現在も解決しない医療上の課題と、今後の支援のあり方についてお聞かせ下さい。

メンタルヘルスの面では、阪神大震災の後、高齢の男性が一番孤独になりやすいというのがありましたので、保健師さんもそこを意識してアウトリーチで回ったりしているようです。他の国でもディザスター(disaster:大災害)の後に自殺のリスクが高いのはやはり高齢の男性というデーターもあります。男性というだけでもリスクが高いです。女性は災害に関わらずコミュニケーションを取るのでそこまで追い詰められないんですね。話してほっとして安心する、すっきりする。最近の若い男性は結構話すようです。FacebookやLINE等のSNSを利用して、情報交換をしているようです。バーチャルでもないよりはいいということですね。
支援の面でいうと、現地の方々が協力することで持続性も生まれるし、その方たちのケアにもなっていると思うので、外からは優しく見守ること、必要であればサポートすることだと思います。


福島そうそうプロジェクト
ニココロPROJECT

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