
長女が生後6~7ヶ月になった頃、夫から海外資本が経営するバナナ農園へ働きに行こうと誘われました。バナナは輸出用の換金作物として栽培されており、村で農業に従事するよりも多くの収入を確実に得られます。村ではよりよい収入を求めてバナナ農園に出稼ぎに行く人達が多く、スアさんたちも長女を連れて夫婦で一緒に住み込みで働くことにしました。長女が1歳を過ぎた頃、再び妊娠しました。ところが妊娠約4ヶ月の時に流産してしまいました。しかし、バナナ農園で働き続け、その後5~6ヶ月ほど経って再び妊娠。ところが3ヶ月を過ぎた頃にまた流産してしまいました。
スアさんは当時のことを次のように語ります。「夫婦で朝早くから一日中バナナ農園で働いていて、週末も休みが取れませんでした。病院は農園から遠く、妊婦健診を受けることが難しかったのです。仕事中は農薬などの化学物質に触れる機会も多く、収穫した重いバナナを運んだり重労働が続き、十分に休息を取ることができませんでした」
スアさんは現在妊娠5ヶ月を過ぎています。今回の4回目の妊娠が分かった際、同じことを繰り返さないため、「元気な赤ちゃんを産みたいから、病院に行きたい。農園での仕事を辞めたい」と夫に相談しました。夫も賛成し、二人は農園での仕事を辞めて自宅へ戻ることを決めました。
現在は自宅の近くにある病院で医師の指示どおり定期的に妊婦健診を受けています。過去に流産を経験したことから、スアさんは不安な気持ちが強く、今回は十分に注意しながら妊娠生活を送っています。出産は、安全のため施設のより整ったフアパン県病院でする予定です。
医師からは「流産を何度も繰り返すと、将来妊娠しにくくなる可能性があり、母親自身の健康にも深刻な影響を及ぼします。場合によっては命に関わることもあります」と説明を受けました。スアさんは「バナナ農園にはもう行きません。夫が行くことはあっても私は家で子どもを育てます」と話しました。
過去2回の流産は、彼女にとって大きな教訓となりました。家族の生活のために働くことは大切ですが、妊娠中は母体と赤ちゃんの健康を最優先に考えなければならないと実感しています。
スアさんは村の健康教育の集会で、自分自身の経験を語り、次のようなメッセージを伝えました。「もし妊娠しているなら、できるだけ重労働をやめて、自宅でゆっくり体を休めてください。そして病院に行き、医師や保健スタッフの指導をよく守り、十分な休息と栄養をとり、鉄剤などの必要な薬をきちんと飲み、少なくとも4回は妊婦健診を受けてください。それが、お母さんと赤ちゃんの健康を守ることにつながります」
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