今年8月25日でミャンマー軍の迫害により70万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れてから早8年となります。
残念ながら、ロヒンギャ難民を取り巻く状況は悪化しています。彼らの故郷であるミャンマー・ラカイン州ではミャンマー軍と地元武装組織であるアラカン軍との戦闘が激化しており、アラカン軍が同州の大半を掌握しています。ただ、アラカン軍もロヒンギャを迫害しており、新たに15万人以上の人々がバングラデシュのキャンプに逃れてきました。これは8年前以来最多の避難数です。とても帰還できる状態ではありません。
また、主に米国の海外援助削減により難民支援が大きな影響を受けています。米国による援助額は全体の4分の1以上を占めており 、これがなくなれば、保健医療サービスや食料提供、水衛生施設の維持管理・関連サービス、教育、暴力からの人々の保護といった支援が十分に継続できません。非常に困難な現状です。
このような中で世界の医療団は引き続き、現地のNGOと共同で難民やキャンプ周辺コミュニティ住民が非感染性疾患やこれの予防・管理の方法について知り、これらのための行動を促す啓発活動を実施しています。当事者(難民やコミュニティ住民)のボランティアが人々に集まってもらったり、戸別訪問をしたりして啓発を行いますが、食事の炭水化物(コメ)・油・塩分を減らす、運動を心がけるといった面で多くの人々が行動を変えています。
また、正しく血圧や血糖値を測定する、結果から適切に患者の健康状態を読み取る、患者に適切な助言を行う、適切に資機材を維持管理するなどの点での診療所の能力の向上への研修、資機材提供、モニタリング・助言を通じた支援も行っています。今年は別の診療所の診療サービスの拡充への支援を実施します。
以上を通じて、困難な現状の中、ロヒンギャ難民が人権の一つとして健康を維持・増進することを支援しています。ただ、上記の援助資金削減の全体的悪影響を俯瞰しながら、柔軟に対応することも必要であると考えています。


※世界の医療団では8月25日にオンラインセミナー「ロヒンギャ難民の今、そして未来」を開催します。ロヒンギャの人々の現状と、ロヒンギャ難民問題の背景、そしてロヒンギャを取り巻く国際社会の動向について知ることができます。
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