©Lukas Lauber Aerztederwelt

欧州特許庁、C型肝炎治療薬の特許無効請求を退ける

ー不公正な特許制度が医療を阻む現実

世界の医療団(Médecins du Monde : MdM)、国境なき医師団および17ヶ国の機関は、欧州特許庁に対し、C型肝炎治療薬の主成分であるソフォスブビルの特許について異議申し立てを行いました。これに対し、欧州特許庁は同成分の特許継続の判断を下しました。 

この不公平な特許が維持されることにより、製薬会社ギリアド社は一層市場独占を加速させ、欧州にいる数十万人のC型肝炎患者の治療はますます阻害されていきます。

この判決は、製薬会社が本来の目的から外れ、自社の利益のみのために特許制度を乱用する姿勢を浮彫りにしました。特許はよりよい社会のために考案された制度であって、必要とする適切な医療アクセスから、患者を遠ざけるための制度ではありません。



不当な特許は市場の独占を生み出し、たとえ命を左右する薬であったとしても、特許を持つ企業は政府に対し法外な価格設定を行うよう圧力をかけることができます。欧州の一部の国では、12週間のソフォスブビル投薬治療を行うのに一人あたり最大43,000ユーロ(約562万円:1ユーロ130.86円で換算)を負担しなければなりません。これまで税金約85億ユーロがギリアド社に流れました。法外な薬価は各国の医療財政を圧迫し、医療保険制度そのものを破綻しかねない状況へと追い込んでいます。その結果として、多くの国で治療に最も有効とされるソフォスブビルの治療が制限される事態が起こっています。

「今回の欧州特許庁の決定に対し、懸念している。特許制度というものがもはや欧州では破綻しつつあることを示す結果となってしまった。今回の判決が、現在、市場に出回っている多くの新型がん治療薬の価格へどう影響するのか、心配しています。ソフォスブビルの薬価と比較して、既に10倍も高い」と、MdMの薬価改定キャンペーン担当のOliver Maguetは述べています。

MdMは、欧州各国政府に対し、欧州特許庁および特許制度の適正化へ向けた措置を講ずるよう要請します。製薬会社は、38の加盟国によって署名された欧州特許条約要件を遵守しなければなりません。

今回の異議申立において、MdMとその協働団体はギリアド社に対し、公聴会前に特許出願内容の改正を行うよう呼びかけています。「市民団体が欧州の特許制度に挑むことこそが肝要だ。こうすることで、特許侵害と欧州特許庁の精査不備の事実を突きつけることができる」Olivier Maguetはコメントしています。

©Lukas Lauber Aerztederwelt

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