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ロヒンギャ難民コミュニティ支援プロジェクト: ホストコミュニティでのきめ細かな健康教育と出張診察などを実施。地元若者も共感して参加

世界の医療団は2021年以来、バングラデシュのNGOパルス(Pulse Bangladesh Society)と連携して、ロヒンギャ難民キャンプと難民を受け入れているホストコミュニティで、高血圧症や糖尿病などの非感染性疾患(NCDs)について予防と管理のための啓発、診療所の診察能力向上支援を行っています。

現在、ホストコミュニティではボランティアが20歳以上の人々へのグループ啓発と40歳以上で罹患した人々のお宅に伺っての個別啓発を行っています。この啓発には患者の家族にも加わってもらいます。また、基礎診療所であるコミュニティクリニック(CC)と糖尿病病院の能力向上支援を行っています。
CCには医師がおらず、研修を受けたボランティアが簡単な診察と投薬を行っています。パルスの職員は血圧・血糖値測定や測定値の判断、患者への助言、記録、資機材管理などについて研修や助言を実施しています。
また、多くの人々がCCやこの診療サービスについて知らず、月3回ほど、関心をもつ人々をCCに連れていき、見学・説明会も開催しています。


CCでの血圧測定

糖尿病病院に対しては衛生、記録、患者のフォローなどについての能力向上支援を行っていますが、ここでもグループ啓発と主に糖尿病患者に対するインスリンの自己注射についての指導を実施しています。また、CCでの測定で異常値が認められた人々には糖尿病病院での診療を勧め、両施設の連携を強めることも支援しています。
他には毎月、糖尿病病院とともに出張診察・健康教育も実施し、毎回50~60人ほどの人々が参加します。参加者からは「このような機会が今までなかったので、とてもありがたい」という声が聞かれます。


糖尿病病院で食生活について指導
糖尿病病院で食生活について指導

NCDsは最大の死因で、バングラデシュでは71%を占めます(1)。日本では高齢化などに伴って82%となっています(2)が、若年層の多いバングラデシュで71%というのは高く、人々を見ていても高血圧や糖尿病に罹患している人が多いことに驚かされます。啓発では予防や罹患後の管理のための食生活や運動習慣などの重要性を説明しています。啓発時に人々に実際にスプーンと塩を用いて「大さじ一杯の塩はどれくらい?」と尋ねると、こんもり盛った塩を示すので、すり切り一杯の量が理想であることを伝えます。また、糖尿病病院で「インスリンを打っていたら、もう大丈夫だよね?」と言う患者がいましたが、ボランティアは彼に改めて生活習慣にも気をつけるように伝えました。

健康教育ではスプーンを使って塩の量を説明
健康教育ではスプーンを使って塩の量を説明

出張診察・健康教育には環境保護などの活動を行っている地元団体の若者も参加しています。支援対象のCCの院長も来てくれましたが、事後、彼らは連絡先を交換し、若者達はCCを手伝いたいと言っていました。このような若者たちが地元のために尽力しようとする姿は頼もしく、地元団体との協力を深めながら、彼らに活動の一部でも引き継いでもらえるように支援していきたいと考えています。

なお、ロヒンギャ難民に対しては診療所のサービスの活性化を準備しています。
日本でもまだまだNCDsについての啓発が必要でしょう。NCDsに限りませんが、罹患していることへの社会の誤解や偏見(スティグマ)を減らしていかねばなりません。ちなみにバングラデシュでは使われている言葉ですが、日本でも糖尿病を「ダイアベティス(diabetes)」に呼び変えようとの動きがあります(3)。その人個人の生活習慣だけに由来する病気だと誤解されないようにするためです。私達も一人ひとりを元気づけ、社会からスティグマを取り除くことの一助になりたいと思います。



海外事業プロジェクト・コーディネーター 中嶋秀昭



1 A Nation Unites 35 Ministries in Landmark Move to Fight Against Noncommunicable Diseases
2 Japan Health Policy NOW – 非感染性疾患(NCDs)
3 日本糖尿病学会・JADEC(日本糖尿病協会)合同 アドボカシー活動|公益社団法人日本糖尿病協会

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