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ヨルダン川西岸における「こころのケア」についての報告書を発表

パレスチナの人々に繰り返される暴力は、拷問に等しい


世界の医療団は、イスラエル軍の占領がヨルダン川西岸のパレスチナ難民に及ぼす心理的影響を記録した報告書を発表しました。「最大の恐怖は、家を失うことだけでなく、歴史、アイデンティティ、そして未来を失うこと」と題されたこの報告書は、2024年1月から2025年3月の間にジェニン、トゥルカレム、ヌールシャムス、アル・ファルア、アクバト・ジャブル、シュアファト、アル・ファワル、アル・アルーブの8つの難民キャンプで収集した臨床データと、パレスチナ難民の証言に基づいています。
2025年1月以来、イスラエル軍の軍事作戦により、ヨルダン川西岸地区では1967年以来最大規模の強制避難が生じ、4万4000人以上が家を追われました。報告書は、パレスチナの人々が受けた壊滅的なこころへの影響を浮き彫りにしています。



報告書によると、
・パレスチナ難民の98%が深刻な苦悩の兆候を示しており、96%が占領によって日常生活が妨げられていると述べています。58%がストレスと不安のために十分に眠ることができていません。
・2025年1月に開始されたイスラエル軍によるヨルダン川西岸地区難民キャンプへの軍事作戦により、メンタルヘルス相談件数は前年度のひと月あたり約100件から5倍の500件に増加しました。
・パレスチナ難民の74%が、短期間に複数の暴力事件を経験しました。
・イスラエルの占領は、子どもたちの発達に深刻な影響を与え、基本的人権を侵害しています。

人々は常に過度の警戒状態にあり、絶え間ない攻撃と次の攻撃への恐怖に苛まれ、立ち直る時間も場所もありません。学校は攻撃され、軍事拠点となり、家屋は破壊され、人々の移動は著しく制限されています。人道支援活動さえも軍事侵攻によって中断され、支援チームやコミュニティが危険にさらされています。

子どもたちへの影響は特に大きく、発達の退行、極度の不安、そして安全な場所がないという感覚に陥っています。暴力と恐怖の連鎖は、世代を超えたトラウマを悪化させ、それは単発的な出来事ではなく、パレスチナの人々の集団的アイデンティティを脅かす継続的なプロセスとなっています。

イスラエル軍による度重なる襲撃、避難生活、そして数々の制限は、パレスチナの人々に持続的な精神的ダメージを与えており、国連の特別報告者が定義する精神的拷問の基準を満たしています。

世界の医療団は第三国に対し、以下のことを求めます。

– 2024年7月の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を執行し、軍の完全撤退と併合の停止を含む、即時かつ具体的な行動をとること。
– イスラエル当局に対し、精神的拷問に相当する行為を停止するよう圧力をかけること。
– 難民を含むすべてのパレスチナの人々の精神的健康を含む「健康への権利」を守ること。
– 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の任務を支持し、人道支援へのアクセスを保障し、パレスチナの人々と公平な援助団体に影響を与えている移動制限を解除すること。


世界の医療団 報告書
「最大の恐怖は、家を失うことだけでなく、歴史、アイデンティティ、そして未来を失うこと」

要約版






フルバージョン(英語のみ)はこちら>>

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