5月26日~29日、シェンクワン県病院にて、日本の医師らと現地医療従事者とで形成外科手術を行う「スマイル作戦」を実施しました。ラオスでは2024年10月に続く2回目で(1回目のレポートはこちら)、今回は日本から森岡大地形成外科医、岡田朋子麻酔科医、辻ノ内幸恵看護師が参加。7歳の子どもから53歳の大人まで8件の手術を行いました。
あきらめていた仕事、結婚、学校生活……。
スマイル作戦でたくさんの人生が輝き出す
子どもの親のなかには、前回の手術の成功を知り、「子どもが同じようにやけどで指が開かないので、ぜひ手術を受けさせたい」という人もいました。手というひんぱんに人の目にふれる場所の不具合が、いじめの対象になるのではないかと、とても心配されていました。
また、31歳の男性は、子どものころに左半身にひどいやけどを負い、左腕を上げることができません。満足に働けないことが負い目になり、結婚もあきらめていました。39歳の電気技師の男性は、子どもの頃のやけどで足の指が数本固まっており、仕事で履かなければならない安全靴があたって痛く辛いと話していました。
![]() ルー・ヤングさん(31歳) |
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ラオス北部では薪を使うかまどが地面に設置してあるためや、交通手段として欠かせないバイクのマフラーが原因のやけどがとても多いのです。また、交通事故や農作業中の事故、戦争時の名残のクラスター爆弾の爆発なので、形成外科手術を必要とする人々がとても多いのです。ところが、日本ではきれいに治すことができても、ラオス北部では形成外科手術ができる病院が遠く離れた首都ビエンチャンにしかありません。子どもの頃にやけどを負っても、治療が受けられず、その後長きにわたって不具合を抱えて生活することになるのです。しかも外見上の傷や障害は、人目にふれるためにいじめや差別の対象になるため、こころにも傷を残します。事前の調査で人目を避け、家に閉じこもりがちになっているという若い女性もいました。
日本の医師らがボランティアで形成外科手術を行うスマイル作戦は、そういった人々が笑顔を取り戻し、将来に希望を見出すきっかけにつながります。


このプロジェクトを支援する
*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
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現地の医療体制を強化。
将来的には現地の医師らが手術をできるように
スマイル作戦の目的は、患者の治療に加えて現地の医療従事者に技術と知識を移転させることです。
前回の手術は現地の若い医師と一緒に行い、丁寧に技術と知識を伝えました。医師らも貴重な学びの機会につながったと、自信を持つことができました。
一方で、ラオスで初めてのミッションであったため、課題も見つかりました。予定していた患者が急にキャンセルになる、準備が整わず手術が予定時間に始まらない、など想定しない事態もありました。しかし、世界の医療団のラオスのスタッフたちが、前回の手術後も患者のフォローアップやリハビリのモニタリングなどで病院側をサポートするとともに、今回の実施にあたっても事前に入念な打ち合わせを重ねてきました。病院と患者とのコミュニケーションも改善し、このことで、予定されていた手術をすべて実施することができました。
前回手術中に現地の麻酔科医が不在になることがあり、改善の申し送りをしていたところ、今回は4人の麻酔科医が交代で担当してくれました。やむなく不在になるときは麻酔科の看護師が立ち会うなど、きちんと改善されていました。 岡田朋子麻酔科医 |
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![]() ヴィラデェット・プラファシリ病院長 |
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手術の前後にわたって病院をサポート
日本の医療従事者が滞在して手術を実施する期間はもちろんですが、ラオスの世界の医療団のチームのメンバーが、何ヶ月も前から病院と手術の実施日を決め、患者のプレスクリーニングなど、病院と伴走しながら準備を重ねてきました。





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スマイル作戦は今後も年に2回、日本から医師らを派遣する予定です。 継続していくことで、医療が現地に着実に根づいていきます。 みなさまのあたたかいご支援が、 多くの子どもたちや若者の未来を切り開いていきます。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 |
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