活動内容

場所

ラオス人民民主共和国 チャンパサック県スクマ郡・ムンラパモク郡

事業内容・目的

■ 医療施設のスタッフ育成による小児医療基盤の構築
■ 村落健康普及啓発を通じた、住民による医療サービス利用促進
■ 診療・治療の無償化政策導入支援による貧困が原因の未受診削減
■ 医療保健政策持続性担保のための県保健省・郡保健省・村長らとの継続的対話

背景

ラオスは、東南アジア内陸部に位置し、タイ、ベトナム、中国、カンボジア、ミャンマーに囲まれた小さな国です。5歳未満の子どもたちの死亡率は周辺国と比べても高く、医療基盤が整備されていれば治療可能な下痢や肺炎などで、助かるはずの多くの命が失われている状況がありました。
南部では隣国のタイ、ベトナムとを結ぶ幹線道路が建設されるなど、開発が盛んである一方、農村部では、病気にかかったときに医療を受けることは依然として容易ではありませんでした。住民の健康や衛生についての意識の低さや、経済的な理由による医療の未受診、また、医療スタッフの知識や経験の不足、という問題がありました。
そのような状況のもと、南部チャンパサック県保健局からの要請により、世界の医療団日本は、2012年10月から、同県スクマ郡とムンラパモク郡で「ラオス小児医療プロジェクト」を実施してきました。2013年6月からは事業資金の多くを「日本NGO連携無償資金協力」から受けて活動を展開しています。

5歳未満の子どもたちが医療を受けることは、病気にかかりやすいこの時期を生き抜き、将来にわたって丈夫な身体をつくる上で特に大きな意味を持ちます。また、子どもたちの健康を守ることは、将来、この国を担う人材を育むことであり、ラオスという国の未来を支えることなのです。
2か所の郡病院と10か所のヘルスセンター、これらの施設を利用する村落を対象に3カ年計画で始まったこのプロジェクト。すでに2年半が経過し、最終年を迎えています。

これまでの活動を振り返って

プロジェクト開始からこの2年半の活動により、医療施設で受診する5歳未満の子どもたちの数は約4倍になり、大きな成果を見せています。

① 医療保健人材育成

住民が安心して受診できる医療を提供するためには、医療スタッフの適切な技術が求められます。医療技術のトレーニングのほか、スタッフ同士が切磋琢磨し合える環境や意識付けにも工夫をしました。それらの努力により徐々に増えてきた患者の数は、なによりもスタッフのモチベーションにつながっています。

② 村落への啓発活動

村落健康普及員の活動は、住民の健康についての意識を変える重要な役割を担っています。2015年3月、ムンラパモク郡で開催した健康教育イベントにはかつてないほどの数の母子とその家族が集まりました(写真)。ワクチン接種の重要性、母乳や離乳食などについて話したあと、妊婦健診や小児健康診断も無料で実施しました。

③ 5歳未満児への医療費減免

ラオスの中でも貧困率が高いといわれるこの地域では、医療費の経済的負担はとても大きなものでした。全国的にも導入が始まりつつある5歳未満児の医療費無料化政策を支援したことで、経済的負担が軽減され、安心して医療を受けることができるようになりました。

④ 医療基盤整備

プロジェクトを開始した頃は、医療スタッフでさえ手洗いをする習慣が定着していませんでした。医療施設に水道設備を整え、感染症予防に必須の手洗いを徹底し衛生面の向上を図りました。また、処置をするための医療器具を完備したことにより、より適切な処置が可能となりました。

2015年末には、世界の医療団から現地パートナーにバトンを渡します。それまでに達成すべき課題は、①現地保健局による医療スタッフの育成、②医療施設と村落による健康の大切さを住民に伝える啓発活動が、プロジェクト終了後も継続して実施されていくための体制を整えることです。これらの課題を越えた先に、「必要なときに安心して子どもを受診させることができる地域医療の構築」という最終目標の達成があるのです。これまで築き上げてきた成果を、未来へつなげていくために、どうか皆さまのご支援をよろしくお願いします。

早川依里子医師よりメッセージ

「ラオスでは、5歳未満の乳幼児死亡率が依然として高い状態が続いていますが、医療事情は厳しく特に農村部では十分な教育を受けたスタッフが不足しています。中でも医師不足は深刻で、農村部での医療を主に担うヘルスセンター(日本での保健センターとクリニックの機能を伴う医療施設)の多くでは医師の代わりに看護師が医療を行っているのが実情です。私は小児科医として年に2回短期派遣にて現地での医療スタッフに対する小児科研修及び実施指導を担っています。支援で大切なのは、自分たちが去った後の未来像をイメージすることだと思います。現地での人材育成を積極的に行うことにより、継続的により良い医療が子どもたちに提供できようにするため、ラオス人スタッフたちと協力しながら活動しています」
プロジェクトレポート
2016/04/05
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート19 ▶
2015/10/30
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート18 ▶
2015/10/19
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート17 ▶
2015/08/20
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート16 ▶
2015/06/11
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート15 ▶
2015/04/07
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート14 ▶
2015/03/30
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート13 ▶
2014/08/15
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12 ▶
2014/06/30
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート11 ▶
2014/05/16
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート10 ▶
2014/04/14
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート9 ▶
2014/03/27
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート8 ▶
2014/03/25
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート7 ▶
2014/02/25
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート6 ▶
2014/02/25
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート5 ▶
2013/10/22
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4 ▶
2013/05/21
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート3 ▶
2013/04/23
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート2 ▶
2012/12/12
ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート1 ▶

PHOTO:Lam Duc Hien