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ラオス小児医療強化プロジェクト:現地活動レポートVol.1-2

現地活動レポート1-1では、県・郡の保健局スタッフ12名がIMCI(Integrated Management of Childhood Illness:小児疾病統合管理)トレーナーとして研修を修了したことを報告しました。
今回は、彼らがヘルスセンタースタッフに向けて行ったIMCI臨床研修について報告します。

初回は9月25日から5日間、県病院トレーナー2名と世界の医療団スタッフがソン郡に出向き、郡保健局からも2名がトレーナーとして参加、ソン郡にある4か所のヘルスセンターからそれぞれ1名、郡病院から2名が受講者として参加しました。

ソン郡は隣の郡から独立してからまだ歴史も浅く、郡保健行政そのものが発展途上にあることもさることながら、郡病院やヘルスセンタースタッフの異動などの不安定要素も多分にある地域です。ところが、研修終了後「事前テストに比べ、事後テストの結果がとてもよかった!」と県病院のトレーナーが嬉しそうに話してくれました。自身もトレーナーとしての経験を積み、研修自体の質が上がっているのも要因のひとつかもしれません。

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修了記念写真



翌週はフアムアン郡に県トレーナーと移動し、郡9か所のヘルスセンタースタッフ9名と県病院スタッフ2名を対象に、同じ研修を実施しました。

ラオス小児医療強化プロジェクト
郡病院で実践研修
研修初日、朝8時前に会場に集まってきたヘルスセンタースタッフからは、どことなくそわそわ、そしてわくわくしているような、そんな雰囲気が感じられました。通常、彼らは村人の命を救うため、遠隔地にあるヘルスセンターにいます。
山岳遠隔地にある村落には、日本のような医療救急体制はありません。ほんの10数年前まで、村人が急病人を抱えて7日間病院まで歩いたという話もあるほどです。今でも救急車が村まで入っていくことは難しく、1名もしくは2名体制のヘルスセンタースタッフは、ヘルスセンターで治療できない急患があった場合の不安と常に向き合っています。さらには電気がない、不安定な通電設備、医療器具も十分でないなどのさまざまな困難に神経がすり減る思いがする、そんな環境にいます。また診断や治療に自信がないスタッフも多く、患者を前に郡病院に電話をして指示を仰ぐといったことも日常です。


ラオス小児医療強化プロジェクト
ケーススタディ。患者役とスタッフ役を受講者が観察。
彼らが「研修を受けたい」理由は、治療し命を救う、村人に対するその役割を果たしたい、という思いがあると感じています。子どもを助けようとヘルスセンターにやってきた家族を前に、自分ではどうにもならない理由で、その子が息をひきとる姿を見守ることしかできなかった、という経験をしたスタッフもいます。「知識や技術があれば救えたはず」、そんな思いを抱えたまま日々の業務にあたってきたのです。
研修受講者の”そわそわ”と”わくわく”は、今までできなかったことができるようになる、自信がなかったことに自信が持てるようになる、そんな期待の表れなのだろうと。

郡病院の新しいトレーナーは、研修開始を待つ受講者を冗談で笑わせたり、硬くなりがちな場を盛り上げていました。研修が始まってからも、県病院のトレーナーに遠慮することもなく、積極的に研修を進めていきます。郡病院のスタッフは、研修が終わってからもヘルスセンタースタッフを監督し、支えていくことになります。

今回の研修が、郡病院とヘルスセンターにとって、村人に向き合う日常診療の技術向上につながり、地域医療の好循環の始まりとなることを、これから2年半をかけて世界の医療団はこの循環の定着を目指してまいります。

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グループワーク発表。受講者もトレーナーも一緒になって学習。


*本事業は事業資金の多くを外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2017年2月より活動を展開しています。

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