ハウジングファースト東京プロジェクト:浦川氏によるレポート

世界の医療団は、東京・池袋周辺で様々な障がいを抱えながらホームレス状態にある方々に、医療や福祉などの包括的な支援を行っています。

ハウジングファースト東京プロジェクト:浦川氏によるレポート
ホームレス状態にある方々の推定障がい保有率は4割~6割(ぼとむあっぷ研究会、2008、2009年)であるというデータもあり、心身ともに安定した生活の実現に向けた支援が重要です。昨年からは、欧米の成功支援モデルである「ハウジングファースト」を取り入れてプロジェクトを構成しています。
「ハウジングファースト」は、まず住居を提供し、個別のニーズに応じた生活再建サポートをする、という支援モデルです。欧米では成功支援モデルとして評価されており、日本での取り組みにも、期待が寄せられています。

ハウジングファースト東京プロジェクト:浦川氏によるレポート
ハウジングファースト東京プロジェクトの2017年の活動は「ふとんで年越しプロジェクト」から始まりました(活動報告は こちらの記事をご覧ください)。 その他定期的な活動として毎週水曜日のアウトリーチ(夜回り)や、シェルターの提供や住まい探し、社会福祉手続きのサポートなど、多岐にわたるサポートを1月も実施しました。

また、1月の活動には、フリーライターの浦川様が活動にボランティアとして参加してくださいました。レポートもいただきましたので、下記に掲載させていただきます。ぜひご覧ください。

ハウジングファースト東京プロジェクト:浦川氏によるレポート

ハウジングファースト東京プロジェクトinふとんで年越しプロジェクト


レポート:2017年1月2日
執筆者:浦川俊平


ハウジングファースト東京プロジェクト、今年もふとんで年越しプロジェクトに参加
行政期間の窓口が閉まる年末年始の閉庁期間中、広く支援を募り、共同のシェルターを借りて運営、医療・生活の相談につなげる「ふとんで年越しプロジェクト」。2013年から始まったこの活動も今年で4年目を迎えました。

ふとんで年越しプロジェクトでの世界の医療団の役割としては、運営はもちろんのこと主に医療にかかる取組みを担っています。 シェルターへの訪問のほか、屋内、そして野外での医療相談会を実施しています。 年が明けた2017年1月2日。シェルター訪問終了後、夕方より生活相談会や炊き出しを含む医療相談会が実施されました。

寒空の下の医療相談会
東池袋中央公園に医療相談会ブースを設置、年明けで冷え込む冬の中、多くの方が相談に来られました。

対面式の医療相談では、問診だけでなく血圧測定、必要に応じた薬の配布を行っています。小型ケースの中には細かく小分けされた多種多様な薬を常備。具体的には湿布、風邪薬、軟膏、目薬、頭痛薬、カイロなどのほか、寒さ厳しい冬の時期に発症しやすい怪我や病気のために欠かせない薬が準備されています。

医療相談を行うのは医師や看護師たち。今回は、高桑看護師に世界の医療団としての活動や医療相談への思いをお伺いしました。 高桑看護師は2013年から世界の医療団に参加。スイスでの医療経験を活かし、日本のホームレス状態にある人々のために「医療」ができることは何かを考え「福祉」活動に繋げています。

「私がスイス赴任中に接した路上生活者の方々は、皆自信を持っていました。その大きな理由には国の大きな支援でした。路上生活者に対してもサポートを行っていました。しかし、スイスと比べると日本は路上生活者の方々に対しての国からの支援はありません。また残念ながら医療界からの関心度も低いのが実状です。」
「私は日本のホームレス状態にある方々に希望をもたせたい。生きてもいいんだよという気持ちを高めてあげたいと思っています。私は医療と福祉の架け橋になるべく、世界の医療団として誇りを持って、路上生活者の方々と向き合っています。」

パートナー団体とともに
ふとんで年越しプロジェクトは、多くの支援団体が協力のもと運営されています。

ハウジングファースト東京プロジェクトのパートナーでもあるNPO法人TENOHASIは、池袋を拠点に路上生活者の方々の炊き出し、福祉相談、夜回りなどを通じ、当事者の方の路上生活からの脱出支援を行なっています。この日も鍼灸・マッサージブースの設置、物資のカンパによって集められた食料や衣類品の配布、生活相談、そして配食まで幅広い支援を実施しています。

生活相談ブースでは、相談者の方の現在の状況とそれに対する打開策について相談が行われています。担当された精神保健福祉士の小川さんは、生活相談に寄せられる悩みについてこう話します。
「当事者の方々はそれぞれ違った悩みを抱えています。私たちは当事者の方々の後方にあるバックグラウンドをひとつひとつ探る役割を担っています。」
「そのためにはしっかりとしたコミュニケーションが必要不可欠です。当事者ひとりに対して一度ではなく何度でもコミュニケーションを取ることで、一歩ずつ解決への道を一緒に進んでいきます。」

さいごに
今年のふとんで年越しプロジェクトは1月4日をもって終了しました。が、「ハウジングファースト東京プロジェクト」では、安心して暮らせる住まいを提供することから支援を始める「ハウジングファースト」を基本に、医療、福祉の包括的な支援を行っていくことで、誰一人としてホームレス状態に陥ることのないコミュニティの創造を目指す活動を今後も行ってまいります。
(文責、コピーライト:浦川俊平)


浦川様、レポートありがとうございました。
ハウジングファースト東京プロジェクトについて、もっと知りたい方は こちらもご覧ください。


<世界の医療団からのお願い>
ハウジングファースト東京プロジェクトでは、関係者の肖像権及びプライバシー保護並びに支援活動の妨害とならないよう、当プロジェクトが運営する全ての活動等に対し取材を希望される場合は申請をお願いしています。申請のない取材、写真撮影等はご遠慮ください。ご理解・ご協力をお願いいたします。

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