スマイル作戦ミャンマー・現地レポート

世界の医療団 日本は、形成外科手術を必要としながらもその機会に巡り合うことのない患者たちに手術を行う「スマイル作戦」のミャンマーでの実施を11月30日~12月7日まで実施致しました。
同団体がミャンマーで「スマイル作戦」を実施するのは、今回で2回目となりました。森岡大地医師のレポートです。

スマイル作戦ミャンマーへ出発
6月にミャンマーで初めてのスマイル作戦が行われ成功裏に終わったのに引き続き、12月に2回目のミッションが行われました。11月30日午前に成田空港を出発、同日夕方にミャンマーの旧首都ヤンゴンに到着しました。翌朝車で5時間かけて新首都のネピドーに向かいます。

形成外科医2人は前回と同じく私と寺島医師でしたが、今回の麻酔科医2人はフランス人から日本人にかわり、「オールジャパン」でのミッションとなりました。2人ともスマイル作戦には初参加でしたが、海外経験が豊富で、小児麻酔を得意とされているのでとても頼もしい麻酔科医でした。

スマイル作戦ミャンマー・現地レポート
活動場所は前回同様、首都ネピドー総合病院で、口腔外科チームが全面的にミッションをサポートしてくれるのですが、到着直後に問題が発生しました。ちょうど手術室を改装・移転している真っ最中で使える手術室がほとんどなく、さらにSEA (South East Asia) Gamesという東南アジア諸国の体育大会の直前。ミャンマーは初の主催国になり、しかもメイン会場がネピドーとのことで、病院スタッフ全員が救護体制を整えるための準備に追われ形成外科ミッションどころではなかったのです。「本当は来るのを数週間遅らせて欲しかったんですけど。。。」と麻酔科長。

スマイル作戦ミャンマー・現地レポート
麻酔科と口腔外科との連絡不足から生じたようですが、予期しないアクシデントは海外ミッションにはよくあることです。しかもそれを残業や突貫工事などで何とか間に合わせることができるのもよくあることです。

「。。。では何とかしましょう。明後日から1部屋だけ使えるようにします。広いから間に仕切りを作れば2人同時に手術できるでしょ?」と先ほどの麻酔科長。連絡ミスした口腔外科部長もホッと胸をなでおろしました。

スマイル作戦ミャンマー・現地レポート
初日は手術室が使えないため、口腔外科病棟の処置室を使って局所麻酔でできる手術を行いました。が、その間に病院スタッフは、すでに引越を済ませていた手術台と麻酔器を元の手術室に戻し、1つしかない酸素の配管を2つに分けて、1日で1部屋を2つの手術室に作り変えてくれました。人間万事塞翁が馬、1部屋になったおかげで麻酔科医や看護師が2つの手術を同時にみることができ、離れた2部屋で行う手術よりもはるかに円滑な手術管理が可能でした。

そのようなアクシデントはありましたが、病院スタッフの協力もあり、

唇顎口蓋裂:11例
腫瘍:5例
瘢痕拘縮:3例
その他の先天奇形:2例

予定よりも若干少なめですが、計21例すべての手術をトラブルなく行うことができたのは喜ばしい限りです。前回もそうでしたが、ミャンマー人研修医、医師、看護師は患者の受診、スクリーニングから術前・術後管理、術後のフォローアップに至るまで手際よく完璧に行います。毎日朝と夕方の2回病棟回診を行って、ガーゼ交換や抜糸などの術後管理と手術予定患者のチェックを行うのですが、私たちが病棟に入るとすぐに研修医と看護師が器材を持って回診についてくれます。これは他のどこの国よりもよくできていて驚かされます。

「包帯の巻き方はこれくらいで大丈夫ですか?」
「口蓋裂の手術後は食事をどのようにしたらいいですか?」

看護師は献身的に働いてくれますし、若手口腔外科医が私たちの手術助手に入るだけでなく、術後管理に至るまで熱心に学んでくれることには感心させられます。無事に手術が終わり翌日包帯を取った時の患者の安堵、手術直後の写真を見せた時の家族の喜びに私たちは救われます。

このように患者、私たち、現地スタッフ、そしてご支援者の方々の4者すべてがハッピーになるのが理想的なミッションであるということを信念として、今後もスマイル作戦を続けていきます。ご支援いただいた皆様には心よりお礼申し上げます。

スマイル作戦ミャンマー・現地レポート

余談ですが、前回今回ともマンダレー病院からサポートに来られたキンマーラー医師(形成外科医)から日本留学の希望があり、審査の結果、2014年4月より私が所属する昭和大学形成外科に1年間の留学が決定いたしました。MDM日本のスマイル作戦から外国人医師が留学するのは初めてのことです。スマイル作戦の目標の1つである「現地医師の育成」に大きな進歩となることを願っています。日本滞在中は支援者の集いなどにも参加していただくと思いますのでよろしくお願い申し上げます。

森岡大地(昭和大学形成外科准教授)



スマイル作戦 ミャンマー


■活動地: ミャンマー ネピドー

■日程: 2013年11月30日~12月7日

■派遣ボランティア:

(形成外科医)寺島左和子、森岡大地
(麻酔科医)岡田朋子、阿久津麗香
(看護師)定宗純子
(MdMJ職員、コーディネーター)畔柳奈緒

■活動病院:

ネビドー総合病院(Nay Pi Tow General Hospital)


スマイル作戦について


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※写真#1は左から、出発前、成田空港での岡田朋子医師、寺島左和子医師、森岡大地医師、定宗純子看護師。

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