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認知症のひとも住みやすい、暮らしやすい村に 

2012年4月に一部を除き警戒区域解除となった川内村、2017年5月現在の帰還率は80%を超えています。
川内村こころのケアプロジェクトがスタートしてからまもなく、認知症を知ってもらうことからはじまった認知症講座ですが、回を重ねるごとに参加者や川内村保健福祉課主導の講座へと変化を見せています。これまで村全体に、地区ごとに、若い世代にもと中学校で、森川すいめい医師による講座が実施されてきました。 

今回は、住民に農家の方が多い地区での認知症サポーター講座です。森川医師の講座は、グループワークで始まり、グループワークで終了します。認知症に対するイメージや既に知っている知識をまずグループで共有することから始まり、次に森川医師が認知症が起こるメカニズム、脳の仕組みについてお話します。
それはいつも「みなさん、既にじゅうぶん、認知症のことをご存知ですね。」の一言から。唯一、森川医師が単独で話す時間なのですが、この間も皆さんのお話は止んだり、止まなかったり。



その後、予防するにはどうしたらいいかなどを話し合ってもらいます。特徴的なのは寸劇、自身が認知症患者とその家族や周囲の役を演ずることによって、身をもって接し方を感じとれるようです。今では住民の方が率先して台本を作ってくることも。

「認知症になったら、老人クラブには誘ってもらえないのかな?」の質問に、参加者から「そんなことはない、お互い参加しよう。認知症になってもどう接していいか学べたから、安心だ。」との意見もありました。認知症患者を抱えるご家族からは「認知症患者との日々に対し、より理解が深まった」、「もともと地区の連帯が強い地域だけれどでも、地域でお互いを支え合う大切さが確認できた。」という声もありました。

地味で、時間のかかる活動かもしれません。でも、高齢者がいきいきと暮らせる村作りに地域社会全体で参加する- 原発事故の影響があった川内村の取組みは、これからの高齢化社会のあり方、モデルになるやもしれません。 

 

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