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MdMフランスの医師 Jean Fayaが、フランス内務大臣Gérard Collomb氏に宛てた手紙

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域で活動する世界の医療団のチームの代表として、一人の医師として、今ここで、大都市の片隅で暮らす人々の悲惨な状況を伝えたい、そして国の政策と方針について問いたいと思っています。

この数ヶ月、警察に立ち退きを強制された路上で過ごす人々が、居場所をなくしさまよう事態が頻繁に起きています。子どもや家族も少なくありません。私たちMdMの活動の中で、この生活環境と不安が、彼らの心身を蝕むだけでなく人間の尊厳をも奪うことを見てきました。

医師は医療従事者としての倫理観 – 出身、道徳観、家族、所属、特に民族や国籍、宗教などによって、その治療が左右されるものではない、その信念に基づき、使命を果たしています。これは道徳心や慈善心を保つことを意味しているのではなく、この国で尊厳ある質の高い医療をする義務とその権利が保障される、そういうことなのです。

では政治倫理についてはどうでしょうか?人々は悲惨な世界を恐れているようです。政策が更に悲惨な世界を作り上げる時、またもその襲いかかる不幸を恐れるでしょう。経済的、政治的、軍事的な施策による影響が、自分に飛び火することを恐れます。極度の貧困は我々が選んだ選択肢と政策の結果だと語られるとき、議論は経済難民にも及びます。フランスに今以上の外国人が増えることを恐れる人がいます。経済、物資や人の行き交いが活発になり、市民権が国家レベルで語られる時代について、新たな議論が巻き起こります。

どうしたら不安から逃れられるか、公開討論をする代わりに国民を保護する責任があると警察が人々を追い立てます。路上の彼らは心身ともに疲弊し、不眠や睡眠障害、抑うつ、脱水症状、妊婦、女性、子どもは暴力の危険に晒されています。

リヨンにやって来る酷暑。住民に水と安全な衛生環境は保障されますが、彼らへの保証はないことについては証明されています。この地で、この国で、人権を求めて闘い続けなくてはならない理由があるのでしょうか?

この春、私たち世界の医療団は直接会って話をすることをお願いしましたが、実現はなりませんでした。私たちは大統領選が行われる間、人種差別とナショナリズムへの煽りと予期される政策に対する懸念を訴える”Appel de Lyon”キャンペーンを展開しました。私たちの懸念は怒りへと変わりました。

水があること、移動できること、洗濯ができる日常、それら自由や医療、人権が、政策によって保障されることがあってはなりません。保障とその恩恵を受けられるのが、政治家の決定如何によるものであっていいのでしょうか?

この質問に回答してくださるなら、私たちはいつでも出向き、話し合いに応じます。リヨン、フランス、世界中で起きているこの問題について、時間を理由に要塞に閉じこもることなしに話をしてください。

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