ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14

2014年12月に実施した研修はスクマ郡とムラパモク郡で2日間ずつ行い、その場のリードはチャンパサック県都パクセでクリニックを開いている小児科医ナロン先生にお願いしました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14
ナロン先生は、長年の経験から、ラオスの医療・看護教育の現状や、充分に訓練を受けられずに現場で働いている医療スタッフによくある治療や処方に関する誤解なども把握されていました。このナロン先生と、日々プロジェクトの対象の郡病院やヘルスセンターに足を運び現場情報を更新している駐在の木田看護師、そして日本から2012年より数回にわたり渡航し、スタッフの知識・技術レベルを確認している早川小児科医とで、研修当日の準備を一緒に進めました。
その結果、現場で現在リフレッシュが必要なテーマとして、肺炎・気管支喘息・痙攣、発熱の鑑別診断、予防接種などを選び、座学・グループワーク・ロールプレイなどを活用し2日間の研修を構成ました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14
研修当日、ナロン先生の座学は参加者のレベルや現状を充分に考慮した内容でありながら笑いも交えて進み、また毎日子どもを診察し続けているだけあってリアリティがあるのか、参加者の集中力は途絶えませんでした(写真1)。
グループワークは、参加者にとってはまだ慣れないながらも楽しんでいたようで、ワークの後に発表があることがプレッシャーになったのか、どのグループも完璧な答えを模造紙に書こうと時間を越えても必死に取り組んでいました(写真2・3)。
ロールプレイの時間は、農村から医療施設に子どもを連れてきた母親をナロン先生が演じ、予防接種を受けてもらうための説明をする医療施設スタッフを研修参加者が演じました。子どもに予防接種を受けさせることが不安な母親役のナロン先生は、スタッフに次々と質問を投げかけます。スタッフ役は必死でもちあわせの知識をたどりながら母親の説得にあたります(写真4)。終了後は、どのロールプレイに説得力があったか、改善の余地はどこにあったかなどを全員で意見交換しました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14
早川医師は、ナロン先生は十分な医療教育・情報を得ることが限定されるラオスにおいて実に積極的に情報を吸収する姿勢を持ち、また医療に対する情熱・使命感も極めて高いと感じたと話しています。4日間を一緒に過ごしたなか、ナロン先生は片言の英語で一生懸命早川医師とコミュニケーションをとろうとされていました(写真5)。
ナロン先生のラオスの医療を支えていく後輩を育てたいという熱いおもいは研修参加者への語りからも伝わってきました。なかでも印象的だったのは、「医療従事者が最初に考えるのは『地域』と『命を救うこと』、『生活のためのお金』はその次」と、研修を受けているスタッフに熱弁されていました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14
ナロン先生には4日間研修にご参加いただいていたため、ご自宅のクリニックを休診しなければならなかったこともあり、研修中の4日間も絶え間なく患者家族から電話を受けている様子でした。研修最終日、ナロン先生をご自宅まで送っていったのが午後6時を過ぎた頃。ご自宅兼クリニックの戸口には、若い夫婦と夫に抱かれた子どもがナロン先生の帰りを待っていました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地レポート14
※文章中の写真は、上から1、2、3、4、5の順です

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