エボラ出血熱から生還した医療者の証言と活動

リベリアの病院で医療従事者として働いていた際にエボラ出血熱に感染し、生還した現地の医療者の証言と、生還後の活動についての対談です。

エボラ出血熱から生還した医療者の証言と活動
エボラ出血熱にどのようにして感染したのですか?

私は医師の助手として、病気になった看護師のケアをしていました。私は、彼女がウイルスを持っていたとは本当に知りませんでした。そして、彼女はウイルス検査により陽性であることが判明し、その後死亡しました。それから一週間あまりで私に症状が出始めました。まず発熱しました。それも非常に高い熱でした。その次に、脱力感と関節の痛みが二日間続き、快方に向かうことはありませんでした。三日目に、エボラ出血熱の治療施設(ETU)に移されることを病院から知らされました。

どのエボラ出血熱の治療施設(ETU)ですか?

その当時は、JFK(ジョンFケネディ)ETUです。

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あなたの同僚の看護師がとても衰弱して、明らかに病気だということに気づいたときに、ご自分を守ることができなかったのですか?防護する適切な器具を持っていなかったのですか?

はい、防護できませんでした。その当時、感染を防ぐ個人防護具(PPE)はありませんでした。私は、無防備でした。彼女がエボラ出血熱の患者だということを本当に知らなかったのです。ご存知のとおり、エボラ出血熱は、奇病です。急速に進行します。これまで世界が経験したことがない病気です。ですから、この病気への対処方法を知らない医療従事者にとっては、死をもたらす作業だったのです。

どのくらいの期間、エボラ出血熱にかかっていたのですか?

私は施設に3週間隔離されました。そして、完治したことが確認されて退院しました。陰性であることが2回確認されました。医師たちは、ことあるごとに検査をするのです。1回目の検査は、実際には陽性でしたが、最後の検査において陰性となりました。その結果、退院することができました。

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あなたはどのように感じましたか?怖かったですか?

ETUに入ったときは恐ろしかったです。死ぬのかと思いました。この特別な病気にかかったら、生還する可能性はとても低いと聞いていたので死を考えていました。心の奥に浮かんだその考えは恐ろしいものでした。実際に辛いことでしたが、神が救ってくれました。

ETUを出た後、あなたの周りの人たちはあなたにどのように接しましたか?あなたは冷たい目で見られましたか?

はい、冷たい目で見られました。これは以前から問題となっていることであり、未だに残る問題です。私がETUを出て家に戻ったとき、家族は私をたくさん抱きしめてくれました。また、近所の人たちや教会のメンバーも、私の退院を祝うために何人か来てくれました。しかし、その時は私に触れようとする人はいませんでした。みんな何メートルか遠くに立って話しかけるのでした。

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何メートルもですか?

はい、何メートルもです。でも私は近くに立ちました。 私たちはこれらの問題に対応しようとしたのです。私たちはただ人々に、私たちは他の人々に再感染しないことを伝えようとしたのです。

今は、あなたの周りはそれらを理解してくれていると感じますか?

はい、感じています。

仕事はいつ、どこで再開したのですか?

お伝えしたように、私は医師の助手ですが、ETUを出るまでに、1ヶ月と少しかかりました。 なぜなら私はそのとき他の問題も抱え、対応しなければならなかったからです。私は明らかに不健康になり、衰弱し、痩せてしまったのです。

何キロ痩せたのですか?

8キロか10キロ以上痩せました。

そうしますと、元にもどるまでに時間がかかりましたか?

はい、体力をつけるのに時間がかかりました。そんな時、他の活動を始めました。

実は、生還者の活動をまとめるため保健省に呼ばれたのです。今、私たちは、生還者としての独自の活動をまとめようとしています。そして、私は、そのグループの議長を務めています。私たちは、エボラ出血熱の生還者グループとしての独自の会を設立しようとしています。その目的は、私たち自身のことを主張したり、冷たい目で見られる問題について議論したり、生存者の権利を守る環境を整備できるようにすることです。生還者の中には、冷たい目で見られている人がいます。職場でさえ、そうなのです。職を失った人もいます。ですから団結して、組織を通じて、私たちの問題を掘り下げ、多くの手助けをしたいと思っています。

そして、もう一つの現実があります。エボラ出血熱から生還した場合、免疫を得ることになります。ということは、危険にさらされることなく医療や支援を行うことができるのです。

たくさんの生還者がエボラ出血熱患者のカウンセリングや衛生士等の形で、ETUで現在支援活動をしています。そのうちの何人かは、両親をエボラ出血熱で失った孤児を支援しています。多くの人がエボラ出血熱を恐れている現実を考えると、そのような孤児を世話できるのは、生還者しかいません。そのため、多くの同じような医療施設で、生還者が働いているのです。生還者の中には、研修中の医療従事者もいます。彼らは臨床医に、経験者の観点からウィルスに関しての知識が間違っているかどうかを教えてくれ、そこにいる他の患者の治療を改善する方法を指摘するので、とても重要な存在です。生還者は、他の場所でもこの疫病との戦いに非常に貢献しています。

エボラ出血熱から生還した医療者の証言と活動
あなたは、そこにいるすべての人に希望を与えているのですね、、、。

はい、全世界に率先して生還者であることを告げることによって、希望を与えているのです。人々はテレビで私を見てきました。それだけで、すべての人々に希望を与えました。誰もがETUに行くときは、死ぬこと、消毒液をかけられること、そのようなあらゆる処置をうけることを怖がっているので、私のことを知らせることで、その恐怖を和らげることができました。それだけで多くの人が大きな希望を持つことができ、施設に入る勇気をもてたと思います。

何人の医療従事者がエボラ出血熱の犠牲になったのですか?

約150人です。

あなたは世界の医療団で働いているのですか?それとも今回の証言の為にピエール(世界の医療団フランス 前会長)に招かれたのですか?

私はエボラのプログラムの一員として、昨日呼ばれました。

この危機的状況にあるリベリアにおける国際NGOの仕事について、あなたがどう考えているか教えていただけますか?十分に行われていると思われますか、そうではないと思われますか?心強く感じられますか?

この疫病との戦いにおける政府の活動を支援するために最善を尽くしている人たちも何人かおります。この戦いは、一人の力だけではどうすることもできません。こうしたすべてのNGOやその他の国際機関、およびリベリア政府が、このウイルスの拡散を封じ込め、完全にこの国からエボラ出血熱を根絶する努力を一丸となって行っています。私は、その努力に感謝し、素晴らしい仕事をやっていると考えています。私たちは、エボラのない国となるようにさらなる努力を求めるだけです。


以上が、証言となります。 現在、世界の医療団としてエボラに対しての活動は、「啓発活動によって感染予防の知識の浸透」、「医療環境の支援」、「医療施設職員へのトレーニング」です。この緊急事態の中、世界の医療団では全世界14事務所で、緊急支援を募っています。また現在、世界の医療団では、「クリスマスチャリティ抽選会」を実施しております。日ごろ、ご支援頂いている皆様の中から、抽選で7種類の中からひとつ賞品を贈らせて頂きます。ご支援や抽選会の詳細はコチラになります。皆様の温かいご支援をお待ちしております。

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