東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート9

今回は2014年11月に行なわれた福島県川内村での世界の医療団の現地医療活動レポートをお届けいたします。

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート9
福島県川内村は2012年4月の警戒区域解除に伴い、住民の帰還が始まりました。行政機能は戻ったものの、医療、商業施設、高校などは原発事故の影響で現在も帰還困難地域となっている隣接の富岡町・大熊町に多く依存していたため、生活インフラが十分整わず、村に戻った住民は震災前の5割程度にとどまっています。従って家族のうち高齢者だけが帰村することが多く、高齢者が孤独な状況におかれた結果、認知症を発症するケースが目立っています。世界の医療団は精神科医を村へ派遣し、認知症又はその疑いのある方・その家族への相談会の実施や、村の住民に対して認知症の方々への接し方など啓蒙活動を行っております。

11月21日、川内村中学校に通う中学生に対して認知症について考える講座(授業)が川内村保健福祉課、福島こころのケアセンター、世界の医療団の3者合同企画により実施されました。授業は「認知症について正しく理解し、差別や偏見なく認知症の人と接することが出来るようになる」「認知症になっても安心して暮らせる地域つくりを実現するため、地域での理解・支えあいが重要であることを体感すること」を目的としてその内容が組まれました。 まず、導入の部分で世界の医療団の森川すいめい(精神科医)が授業への動機付けをおこなった後、認知症役の老人とその家族との会話のやり取り(ロールプレイ)を生徒たちが行い、その結果を発表してもらうことで、自分たちが認知症の方とどう接したらよいかを体感していただきました。

授業は先生方が見守る中70分ほどの長さでしたが、生徒たちも熱心に取り組み、ロールプレイとその振り返りを通じ、認知症の高齢者への接し方を体得できた授業になったと感じました。

原発事故により村外に避難していた住民が村に帰り、万一認知症になっても安心して暮らせる魅力的な村となるように、という川内村の願いを実現させる一歩としても、有意義な活動になったと思われ、今後も世界の医療団は川内村支援者の一員として、このような認知症に関する啓蒙活動を継続していく予定です。

(*)ジャパン・プラットフォーム様の「共に生きる」ファンドによりこの事業を実施しております。

玉手 幸一 東日本大震災プロジェクト コーディネーター

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