©Louise Bichet / MdM

ガザ:支援物資の空中投下や海路による輸送は、陸路の代替手段になりえません

栄養失調や疾病による死者数が増加するなか、25のNGOが各国政府に停戦と陸路を通じた人道支援を優先するよう要請


ガザ地区で活動する人権団体と人道支援団体は、現在の紛争が始まって以来、ガザにおける前例のない人道的ニーズを満たす唯一の方法は、即時かつ恒久的な停戦を確保し、完全かつ安全で妨げられないすべての陸路を通じた人道的アクセスを確保することであると繰り返し主張してきました。各国政府は、援助物資の空中投下や海路を通じた搬入の努力の陰に隠れて、ガザのニーズを満たすために十分な努力をしているかのような幻想を作り出すことはできません。国家の第一の責任は、残虐犯罪の拡大を防ぎ、容赦ない砲撃を終わらせ、人道援助の安全な輸送を妨げる制限を解除するために効果的な政治的圧力をかけることです。

何ヶ月も、ガザのすべての人々は危機的レベルの飢餓を強いられてきました。総合的食料安全保障レベル分類(IPC)が記録した食料安全保障上の危機にある人口の中で最大の割合です。人々は何ヶ月も安全でない水を飲み続け、何日も食事をとらずに過ごしています。絶え間ない砲撃による疾病の流行や人々の深刻な負傷により保健システムは完全に崩壊しました。最近、少なくとも20人の子どもが重度の栄養失調、脱水、および関連する疾患で死亡しました。食料、水、健康状況の悪化が日に日に加速する中、イスラエル当局によって人道的アクセスが妨害され続ければ、飢餓と病気による死者がさらに増えることになるでしょう。国連は飢餓が差し迫っていると警告しています。

各国は最近ガザへの援助物資の空中投下を強化していますが、人道支援専門家らは、この援助の提供方法だけではガザでの膨大なニーズを満たすことはできないと強調しています。生存が極端に脅かされている状態にある230万人は、空中投下では十分な栄養を補給することも病気やケガを治癒することもできません。

空中投下では、陸路で輸送できる量の支援を提供することはできません。 5台のトラックからなる車列は約100トンの救命支援物資を運ぶ能力がありますが、最近の空中投下では毎回数トンしか届けられませんでした。空中投下は、援助を求めている人々にとっても非常に危険な可能性があります。ガザではすでに、援助物資の墜落により少なくとも 5 人が死亡したと報告されています。人道支援は即席で行うことはできません。配布のためのロジを組み立て、直接的に支援を提供する専門家によって提供されなければなりません。また、援助の提供には「人間の顔」が必要です。被災者のニーズを適切に評価できるだけでなく、すでに心に傷を負い絶望を抱いた人々に希望と尊厳を取り戻させることも必要です。5ヶ月にわたる継続的な爆撃と非人間的な状況に耐えたガザの子どもたち、女性、男性は、空から降ってくるわずかな施し以上のものを受ける権利を持っています。ガザに到着する人道援助は歓迎されますが、空路や海路による輸送は、陸路で届けられる援助を補完するものであって代替するものではありません。

最近、空中投下を実施した国の一部、すなわち米国、英国、フランスもイスラエル当局に武器を提供していることに留意しなければなりません。国家は、虐殺犯罪の防止を含む国際法に基づく国際的責任や義務を回避するために援助を利用することはできません。これらの国が国際法の義務を果たすためには、国際犯罪に使用される危険性をもつすべての武器移転を停止するとともに、即時停戦、無制限の人道的アクセス、加害者の責任追及のための有意義な措置を講じなければならなりません。

第三国は最近、キプロスからの海上回廊を開設する取り組みを発表しました。これには、ガザ沿岸に浮遊港を設置することも含まれますが、完全に稼働するには数週間かかります。人々は飢えており、海上および陸上のインフラの建設を待てません。彼らの命を救うには、現在ガザへの入国が差し止められている食料と医薬品を積んだトラックの即時入域許可が必要です。援助物資の海上輸送はラファ検問所で留め置かれている援助物資が現在直面しているのと同じ障害、すなわち、継続的な治安の悪化、イスラエル軍による高い確率のアクセス拒否、検問所での過剰な待ち時間に悩まされます。そのため、即時停戦とガザ地区全域への完全かつ妨げのないアクセスが実現しない限り、海上回廊の設置によって人道上の壊滅的な状況が実質的に変わることはありません。また、どの主体がインフラ整備や物資輸送の安全確保に責任を負うのかと懸念もあります。各国は、援助の必要性を隠れ蓑に、海上回廊がイスラエルによるガザの長期にわたる地上軍事占領を正当化することがないように図らねばなりません。

私たちは、この悲惨な状況においてあらゆる援助が必要であることを認識していますが、陸路を通じた人道的アクセスの悪化と戦闘の長期化につながる危険な前例を作ることで壊滅的な結果を招く可能性があることを警戒しています。ガザにおける膨大なニーズへの適切な人道的対応は、エジプト側国境に何ヶ月も留め置かれている人道支援要員への無制限のアクセス付与です。これまでのところ、ガザ地区の230万人の人々が食事をし、治療を受け、家屋をもつことができるかどうかは、イスラエル当局の独自の裁量に委ねられています。この状況が放置されるわけにはいきません。人道支援団体にはガ人々を支援する能力がありますが、欠けているのはこれらの人々へのアクセスを強化するための政府の政治的意志です。

人道支援団体が第三国に期待しているのは、即時停戦に向けた影響力を早急に行使し、イスラエル当局に対し、ラファ、ケレム・シャローム/カラム・アブ・サレム、エレズ/ベイト・ハノウン、カルニの検問所の全面的な開放を含む、ガザ地区全域での援助の意図的な阻害を中止させることです。私たちは、ガザ地区の230万人の人々の苦しみを軽減するために必要な人道援助の流れを大幅に増加させるためには、即時かつ恒久的な停戦が唯一の条件であることを訴えます。


署名者:
Action Aid International
American Friends Service Committee
Amnesty International
Association of Italian NGOs
CCFD-Terre Solidaire
CISS – Cooperazione Internazionale Sud Sud
DanChurch Aid
Danish House in Palestine
Danish Refugee Council
HelpAge International
Humanity & Inclusion – Handicap International
IM Swedish Development Partner
International Federation for Human Rights
INTERSOS
Medical Aid for Palestinians
Mennonite Central Committee
Médecins du Monde International Network / Doctors of the World
Médecins Sans Frontières France / Doctors Without Borders France
Oxfam
Plan International
Première Urgence Internationale
Secours Islamique France
Terre des Hommes Italy
War Child Alliance
Welfare Association

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