事務局長 米良彰子より新年のご挨拶

昨年は世界の医療団の活動に深いご理解とご協力、ご支援を賜りまして、ありがとうございました。

元旦に発生した能登半島地震で被災された皆様にこころよりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたします。一刻も早い復旧と復興と、被災された皆さまの平穏な生活が戻ることを願っております。

思えば2023年もさまざまな課題に対応を迫られました。
2023年10月7日のイスラエルとハマスの軍事衝突を端緒にしたパレスチナ・ガザにおける大規模な空爆と封鎖は、現地で医療支援に携わってきた私たちにとって、大きな衝撃であり、国際人道法違反の病院も標的となる攻撃に強い憤りを感じています。大切な同僚も犠牲になりました。現地からの情報を伝えながら、声明や署名活動、他NGOらとの記者会見などを通じ、医療施設と医療従事者が標的となってはならないこと、そして即時停戦を求める声を上げてきました。国際社会がこの出来事を黙認したり、傍観することは許されません。一刻も早い停戦の実現と医療体制の回復のために、今年度も世界各国の世界の医療団の仲間とともに行動してまいります。

ガザのニュースの影で報じられることが少なくなったものの、ウクライナやシリアでの紛争、そして紛争被害の上にさらに打撃となったトルコ・シリア地震、6年以上が経過しているのにもかかわらず進展の見られぬロヒンギャ難民問題、ラオス山岳地帯で十分な医療を受けることができない人々の存在、そして日本国内のホームレス状態の人々、と多くの課題が歴然として残ったままです。
必要な人々に医療を届ける地道な取り組みと同時に、行政に働きかけすべての人が医療につながれるよう社会の仕組みを変えていく取り組みも進展させていきます。昨年はNGO・外務省定期協議会に出席し、日本国内での医療課題について現場の声を踏まえて提言を行いました。2024年もしかるべき場所できちんと声を上げていきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症が昨年5月に5類に移行し、規制が緩まりました。感染症対策を継続するのは当然のことながら、コロナ禍以前の対面の活動が可能になりました。昨年は産学連携プロジェクトで、デザインなどを学ぶ専門学校の学生たちにラオスで使う啓発活動ツールや広報テンプレートを制作してもらいました。何度か学校に足を運び世界の医療団の活動を伝えるなかで、若者らの熱意や真摯な姿勢がダイレクトに伝わってきて、とても頼もしく感じました。2024年もさらに現場での活動やイベントなどを積極的に実施し、多くの方と対話できる機会を増やしていきたいと考えております。
ぜひ、ご参加いただき、率直なご意見やご感想をお寄せいただければありがたいです。

多発する課題に対して、可能な限り予防策を講じ、未然に防ぐ、あるいは少しでも影響を減じる必要性を改めて感じています。日々の健康面も同様です。
誰もが医療につながる社会の実現をめざし、スタッフ一同、さらに精進してまいります。
引き続き、関心をお寄せいただき、お力添えをどうぞよろしくお願いします。


世界の医療団 事務局長 米良彰子

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