2023年UHCハイレベル会合に向けた世界の医療団の声明

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ に関する第2回ハイレベル会合が、9月21日にニューヨークで開催されます。各国政府は、2015年までに、すべての人が必要な時に、必要な場所で、経済的困難を伴うことなく必要なあらゆる種類の医療サービスを受けられるようにすることに合意しました。世界の医療団はこの会合に出席し、世界の指導者たちに対し、この目標を達成するための大胆なステップに合意するよう呼びかけます。

世界の医療団は、医療サービスを受けられない社会から疎外された人々と直接協働することを通じ、人々の健康を形作っている社会的、経済的、政治的決定要因を目の当たりにしています。私たちは、医療費の利用者負担の導入や保健分野の民営化が、しばしば保健サービスを利用しにくくしていることを見てきました。
また、社会から疎外されたコミュニティの多くが、保健医療へのアクセスを拒否されています。これは、UHCを正式に宣言した国でも同様です。疎外されているグループはさまざまですが、貧困層や農村地域、女性や少女、移民や難民、薬物使用者、受刑者などであることが多いです。私たちは、往々にしてプライマリーヘルスケア(※1)と性と生殖に関する健康へのケア(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア)が欠けている点を懸念しています。この2つの要素を完全にカバーしなければ、UHCを達成することはできません。
従って、私たちは各国首脳に対し、以下のコミットメントを果たす、もしくは再確認し、強力でエビデンスに基づいた政治宣言を発するよう交渉することを求めます。

・国連の経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約に規定されている、到達可能な最高水準の身体、精神の健康を享受する権利と、健康な生活と労働条件、および必要な医療サービスへのアクセスを確保する国家の義務を再確認する。国家には、医療分野における民間部門を監視し、規制する義務があります。
・プライマリーヘルスケアに関するアルマ・アタ宣言(※2)の3つの柱を再確認する:
  ・人々の生涯を通じて、ニーズに基づいた総合的な保健サービスを提供する。
  ・多部門にわたる政策と行動を通じて、より広範な健康の決定要因に対処する。
  ・個人、家族、地域社会のエンパワーメントを行う。
・「誰一人取り残さない」というコミットメントを再確認する:脆弱な立場にある人々に十分なアクセスと特別な支援を提供し、差別から守る。
・女性の健康への権利を制限する動きに抵抗し、性と生殖に関する健康と権利が全面的にUHCの不可欠な部分として認識されるようにする。
・排除された人々の状況を可視化するために、健康状態やサービスへのアクセスに関する詳細なデータの入手と利用を改善する。
・健康への公平なアクセスの計画、実施、モニタリングに、影響を受けるコミュニティの人々を参加させる。

現在の政策は、2030 年までにUHCを達成するには十分ではありません。特に、UHC を実現するためには資金を増やすことが必要です。私たちは各国政府に対し、世界中で起きていることを考慮し、人権を尊重する義務に沿って公平な医療システムを構築する責任を認識するよう求めます。



※1 プライマリーヘルスケアは、国の医療システムを効果的に組織し強化し、健康と福祉のサービスを地域社会もたらす社会全体のアプローチです。健康増進から病気の予防、治療、リハビリテーション、緩和ケアなどに至るまで、個人の健康のニーズに従い、受け入れ可能な方法で提供されます。
参考:https://www.who.int/health-topics/primary-health-care#tab=tab_1

※2 1978年9月に旧ソビエト連邦(現在はカザフスタン共和国)のアルマ・アタで「プライマリーヘルスケアに関する国際会議」(世界保健機関[WHO]とユニセフの共催)が開催され、143ヶ国の政府代表と67機関(国際機関やボランティア団体等)が参加。健康が基本的人権であることを明言した「アルマ・アタ宣言」が採択されました。

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