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世界の医療団の国際ネットワーク トルコとシリアで発生した地震における円滑なアクセスと迅速な資金調達を国際社会に要請

2月6日にトルコとシリアで発生した非常に大きな地震により、両国で少なくとも4万人以上の死亡が確認され、数百万人が影響を受けていることを受け、世界の医療団は最も支援を必要としている人々への円滑なアクセスと、命を救い、被災者に基本的な支援を提供するために必要な資金の迅速な調達を国際社会に求めています。

トルコでは数十年ぶりの強い地震により、多くの建物や道路が完全に破壊されました。被災地の人々は、水や電気などの基本的なインフラや、避難所へのアクセスが難しい状況にあります。救助隊は今もなお、支援を必要とするすべての人々に応えるため、懸命に活動を続けています。

シリア北西部では、12年にわたる紛争により、すでに410万人が人道支援を必要とし、過酷な状況下で生活をしていました。厳しい冬の最中に発生した地震は、過酷な状況にある人々にさらに耐え難い負担を強いています。シリア北西部では多くの建物や避難所が倒壊し、もともと不足していた医療施設は稼働できなくなりました。病院は損傷を受けているか倒壊しており、この地域にある世界の医療団の診療所もすべて被害を受けました。多くの医療従事者とその家族が被災していることにより、医療サービスの提供ができません。

緊急の医療支援が必要です。特にすでにコレラの発生や栄養の問題があった地域では、基本的なケアがこれ以上支障をきたさないよう、また事態がこれ以上悪化しないよう、また、医療サービスを迅速に復旧させる必要があります。女性と子どものニーズには、性と生殖に関する健康(Sexual and Reproductive Health: SRH)に重点を置いて対応しなければなりません。不安や心的外傷後ストレス障害などの心理的なケアのニーズは急増しています。医療キット、防寒着を含む応急処置キット、手術のための消耗品、ベッドカバーやマットレスなどが最も必要とされています。

トルコとシリアの国境における惨状は、シリア北西部で活動する人道支援団体に影響を与えています。世界の医療団トルコが地方事務所を置くトルコ南部ハタイ県には、多くの人道支援NGOが存在しており、シリアでの活動の主要拠点のひとつとなっています。この町が完全に破壊されたことにより、シリアの人々への支援の提供にさらなる影響を及ぼしています。

世界の医療団は被災地での緊急支援活動を強化し、長期的な支援に向けた準備を進めています。現在は、世界の医療団は応急処置や心理社会的支援などの緊急対応を行っています。地震の発生後24時間以内には、トルコ南部ハタイ県で緊急対応を行うため、現地のチームを派遣しました。また、国境のシリア側、イドリブ県アフリンとジャンダリスでも支援を開始しました。

世界の医療団は今、国際社会に対し、取り組みを強化するよう求めています。

●すべての関係者、すなわちトルコ政府、シリア政府、国連、国際社会は人道的原則に従い、最も支援を必要とする人々への人道的なアクセスを妨げてはならない
○いかなる政治的意図も考慮することなく、支援を必要とする地域への制限のないアクセスを確保するため、宣言を行動に移さなければならない。その努力は国際社会によってサポートされるべきである。
○シリアへの人道支援(物資および人の入国と負傷者の出国を含む)は円滑に行われなければならない。
○すべての関係者は、バブアルハワ検問所以外に国境を越えることができる場所を開設する努力をすること。
○シリア政府は人々の膨大なニーズに対応するため、NGOが人道支援を提供できるよう、シリア政府の支配地域と被支配地域の間に安全かつ制限のない通過地点を確保すること。

国連とドナー・コミュニティは被災地に対する財政的支援を包括的な方法で強化するべきである。
○最も適切な方法でニーズに対応するため、シリア全体のアプローチによってドナーの資金の流れを導くべきである。
○心理的な応急処置や、リプロダクティブ・ヘルスにおける最小限の初期対応など、包括的な医療ニーズに焦点を当てて、被災地の支援者に追加の資金提供が行われるべきである。
○追加の資金提供は、初期対応を行っている現地の組織を優先するべきである。
○ドナーや国際社会は、すべての被災地において重要な基本のインフラの再構築を目的としたプログラムに直ちに投資するべきである。水と医療施設、そして被災地の長期的な支援計画に焦点を当てなければならない。

背景情報と被災地における世界の医療団の活動
月曜日(2月6日)にマグニチュード7.8の地震が発生し、その後の2回目の大きな地震といくつかの余震により、トルコとシリアの被災地は甚大な被害を受けました。この災害によって生じた膨大なニーズに対応するため、あらゆるレベルでのグローバルな協力が必要とされています。トルコとシリアで人々を救助し、被災地を支援するため、国際社会と人道支援機関によって多くの努力がされています。現在までに何万人もの人が命を落とし、何万人もの人が負傷したり、がれきの下敷きになったりしています。建物や家屋だけでなく、道路、空港、診療所や病院などのインフラもこの恐ろしい地震で破壊されました。凍てつく寒さ、電気や通信網の破壊、そして新たな余震のリスクは救助をさらに困難にし、がれきの下にいる人々の生存の可能性を低くしています。

世界の医療団の活動:
トルコ
・2015年からアンタキヤで難民や非正規移民の人々に医療、保護、メンタルヘルスと社会心理的支援(MHPSS)を無料で提供するプログラムを実施しています。

シリア
・2018年からシリア北西部の14ヶ所の医療施設と1ヶ所の産科・新生児ケア救急センターにおいてプライマリヘルスケア、性と生殖に関する健康、メンタルヘルスと社会心理的支援(MHPSS)を提供しています。
・シリア北東部では、2017年から3つの州の14ヶ所の医療施設において、プライマリヘルスケア、性と生殖に関する健康、メンタルヘルスと社会心理的支援(MHPSS)を提供しています。また感染症や最近の栄養失調の危機にも対応しています。
・2022年8月からは、いくつかのパートナーを通じて政府のエリアでプライマリヘルスケア、ンタルヘルスと社会心理的支援(MHPSS)、移動診療チームの技術指導を行っています。



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