ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート9

ムンラパモク郡のメコン河に浮かぶ島にあるドナングロイカン村を訪ねたコミュニティワーカーと村落健康普及ボランティアの活動レポートです。午前中はお寺での健康教育集会、午後は3件の家庭訪問と盛りだくさんの一日でした。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート9
村落健康教育集会は、各村で選ばれた村落健康普及ボランティア(VHV)が主催して住民を集め、小児の健康についての基礎知識を普及するものです。現在は一通りの学習を終えたVHVが、知識を自分自身に定着させ、さらに人に伝えることを学習している途中なので(レポート6参照)、コミュニティワーカーと一緒に集会を進行しています。 この集会を開くためには、村長さんやラオス女性組合メンバーなど、地域づくりのキーパーソンと協力しなければなりません。なぜなら、集会に参加した住民がその1時間半~2時間で知識を得ることはもとより、集会を通じて多くの関係者と連携することこそが後々にコミュニティに残る財産となるからです。 この日は児童教育でも取り上げられることがある手洗いがテーマの一つだったので、島の育児施設の先生にも協力してもらい子どもたちが参加、お寺の集会所は村民でいっぱいになりました。 こうして住民が集まる背景には、日々島で活動するVHVの努力があります。この村のVHVは、かつて軍に所属していた時に看護を学んだそうで、今は農業の傍ら、薬箱の保管などを通じ(島には現在、医療施設も薬局もない)、島民の健康生活を守るために活躍しています。まだまだ不慣れなVHVも多い中、フリップチャートを集まった村民に説明するこのVHVの姿からは自信が感じられました(写真最上)。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート9
住民からの信頼も厚いようで、集会開催にご協力いただいた村長さんが、多くの患者が重症に至らずにすんでいるのはこのVHVのおかげと話してくれました。残念ながら患者の命を救うことはできなかったものの、VHVと協力し、最寄の病院に急患搬送を手配したことも1年間に2回ほどあったとのことです。村落健康教育が始まってからは、住民が家にトイレを設置したり、家の中をきれいにするといった衛生習慣も徐々に改善しているとの感想でした。村長さんの言葉をききながら横でVHVがうなずいている様子からは、自分がやってきたことの成果を感じているのだろう様子がうかがえました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート9
集会の後、5ヶ月の赤ちゃんの祖母に当たる参加者女性が「手洗いやトイレを掃除したり、聞いたことはあったけど忘れていたねぇ」とコメントしていました。集会を繰り返していくことで、知識が個人、家庭、そしてコミュニティに定着していく…5ヶ月の孫が親になる頃には、当たり前の知識として普及していることを期待したいものです。

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