©Pietro Chekal - Médicos del Mundo

厳冬のウクライナ 戦争開始からまもなく1年

戦争終結の兆しは見えず 寒さとの戦いも


map_ukraine 2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。世界中に強い衝撃を与えたこの侵攻は、まもなく1年が経とうとしている今もなお続いています。戦争は激しさを増し、現地の状況は悪化の一途をたどっています。2022年12月現在、約1,600万人※1がウクライナ国外に逃れ、約559万人※2が国内避難民となって住んでいた場所を離れました。支援を必要としている人は1,770万人にも及びます。※2
ウクライナの冬は非常に厳しく、気温は氷点下まで下がります。首都キーウの1月の平均的な最高気温は0度前後、最低気温はマイナス6度程度です。昨年10月には生活に不可欠なインフラが次々と標的となり、エネルギー関連施設も攻撃を受けました。それにより大規模な停電やガスの供給停止が各地で発生、人々は戦争の最中、厳しい寒さとの戦いをも強いられています。
※1 UNHCR ※2 UNOCHA

このプロジェクトを支援する

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


現在の医療体制と人々の健康状態は


エネルギー施設への攻撃による停電は、医療現場にも深刻な影響を及ぼしました。医療機器が稼働できない、懐中電灯で照らしながらの手術、安全な水が確保できないなど、多くの病院や薬局は正常な機能を失っており、ウクライナの医療は支援なくして提供が難しい状況にあります。
世界保健機関(WHO)によると、国際法で禁止されている医療施設や患者、医療従事者への攻撃は、2022年2月24日から11月30日までに745件、死者101人、負傷者は131人にのぼっています。


避難所に身を寄せる人々の多くは、女性、子ども、高齢者、健康上の問題を抱えている人々です。食料が足りていない避難所もあります。人々に多くみられる疾患は、高血圧などの循環器系疾患、2型糖尿病や関節痛といった慢性疾患です。加えて、冬の到来により、急性呼吸器疾患やアレルギーが増えています。そして言うまでもなく、長引く戦争により多くの人々がストレスに苦しみ、それは睡眠障害や不安の増大などとして現れています。また非感染性疾患の治療、妊産婦、新生児を含む子どもの健康、そして新型コロナウイルスの蔓延も懸念されています。

Ukraine
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世界の医療団の活動
ニーズに合わせた柔軟な支援を展開


世界の医療団は2015年からウクライナで活動していますが、戦争の開始とともに緊急支援体制に切り替えました。ウクライナ国内と周辺国との国境において、安全に配慮しながらニーズに合わせた柔軟な支援を行っています。

世界の医療団の活動の柱 医療を届ける移動診療車

医療施設が機能していない地域や、病院に足を運ぶことが難しい人々のため、車両に医療機器を備えた移動診療車で町や村を回っています。

●移動診療車の活動を行っている地域:
チェルノフツィ州、キーウ州、ドニプロ州、オデーサ州、チェルニヒウ州、ハリコフ州、ザポリージャ州
●移動診療車のチーム構成:医師、看護師、心理士など
1週間で3,4ヶ所の地域を訪問
1ヶ月で約500~600人を診療
●よくみられる症例:
診療を受ける人々の多くは高齢者であるため、高血圧や糖尿病、狭心症などの心臓病など


膨大なニーズへの対応 医薬品、医療機器などあらゆる物資の不足


世界の医療団が提供するのは医療サービスだけではありません。物流が滞っているため、各地で物資の不足が起きています。ニーズを調査した結果、医薬品(特に慢性疾患)、ガーゼ、縫合糸、注射器など医療消耗品、医療機器に加え、乳幼児のおむつ、毛布、避難時に使用する地下壕のベッドなどの需要もありました。世界の医療団は、安全を確保しながら必要な物資を適切な場所へ輸送しています。また、停電への対応として発電機を提供しています。これにより、緊急時にも医療の提供を継続できるようになりました。


戦争で傷を負った人々へのこころのケア


こころのケアは、世界の医療団がこれまでも注力し、専門性を蓄積してきた分野です。移動診療車に心理士が同乗して相談を受けたり、現地のカウンセラーに研修を行ったりしています。また、オンライン相談とともに、昨年4月には電話のヘルプラインを開設。しかし、世界の医療団だけではカバーできないほどの相談が寄せられ、他団体と協力して対応しています。こころのケアのニーズが非常に高いことがうかがえます。


ウクライナで活動する世界の医療団スタッフ 医師 オレジアの話


Olesia

©MdM Greece

“医薬品、特に慢性疾患の薬が常に足りません。供給ルートが断たれてしまったのです。代替品を探すために日々奔走しています。
ウクライナで活動する医療従事者の多くは、まだここを離れるつもりはありません。どのような状況であっても、支援を必要としている人々に医療を提供し続けるため、皆が最善を尽くしています。”


活動実績



< ご支援はこちらから >

事態は長期化することが予想されています。また、戦争が終結したあとも復興には長い時間がかかります。皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。

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©MdM Greece

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