©MdM Japan

ロヒンギャ難民コミュニティ支援プロジェクト

ロヒンギャ難民危機から5年
権利、安全、尊厳が約束されない限り、故郷に帰ることはできない


map_rohingya ミャンマー北部ラカイン州のイスラム系少数民族ロヒンギャ。仏教徒が9割を占めるミャンマーでは、ロヒンギャの人々はバングラデシュからの不法移民とみなされ、国籍が与えられず、長い間迫害されてきました。2017年8月下旬、ミャンマー軍による大規模な武力弾圧が発生。命を守るため、70万を超える人々が隣国バングラデシュに逃れる事態にいたりました。

2017年の危機から5年。バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプには、約95万人が身を寄せ「世界最大級の難民キャンプ」と言われるほどです。小高い丘に登れば、キャンプの中は見渡す限りのシェルター―簡素な竹の枠組みにビニールシートをかけただけの質素な小屋―が並び、土埃の舞う道は人々であふれています。ここでは仕事をする機会が限られており、子どもたちが公的な教育を受ける場所もありません。それでもキャンプに留まる理由は、権利と安全と尊厳が約束されたミャンマーへの帰還が保障されていないからなのです。


“キャンプは刑務所のようです。ここに死ぬまでいるなんで考えられません。ミャンマーに帰りたい。基本的人権が保障されるのであれば”
(世界の医療団とともに活動するロヒンギャ難民ボランティアの言葉)


このプロジェクトを支援する

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


健康をむしばむ難民キャンプの生活


現在のところロヒンギャの人々がミャンマーに安全に帰還できる見込みはなく、難民キャンプでの生活が長期化することが予想されています。そこで懸念されるのが人々の生活習慣の変化とこれがもたらす健康への影響です。ロヒンギャの人々の多くはもともと農業を営み生活していました。しかし、難民キャンプでは耕す土地もなく、移動の自由もありません。女性に限っては宗教的規範から外出が容易ではなく、日常的に身体を動かす機会が減少しました。また、人々は健康に関する正しい情報を得る機会や手段が限られています。このため、「塩をたくさん摂ると体が清められる」、「油をたくさん摂ると力がつく」、「運動は体を消耗させるのでよくない」といった古くからの言い伝えを信じ、不健康な生活を送っている人々が多くいます。
現在、キャンプ内では、風邪や腹痛など日常的な疾病を対象とする一次医療体制は整備されていますが、高度・専門的医療体制は十分に整っていません。


rohingya
©MdM Japan

揚げ物を売る難民キャンプ外の地域コミュニティの店。ロヒンギャの人々も揚げ物料理を日常的に食べたり、チャイに砂糖をたくさん入れて飲んだりする習慣がある。



世界の医療団の活動


世界の医療団は2017年の危機の直後に現地調査を行い、同年12月からは難民キャンプ内で特に脆弱な立場にある女性や子ども、高齢者などを基礎的な医療につなげる活動を開始しました。その後もモンスーン期の保健衛生と防災、新型コロナウイルスの啓発など、ニーズを捉えた活動を続けてきました。
★2021年4月からは非感染性疾患の予防啓発も 
事態の長期化を見越し、人々の健康への意識を変え、非感染性疾患※を予防するための啓発活動を行っています。また、難民を受け入れているホストコミュニティにおいても同様の啓発活動を行うとともに、医療施設の支援も実施しています。

※非感染性疾患とは
世界保健機関(WHO)の定義では、「不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したもの」のこと。生活習慣のみならず、貧困が罹患・促進の社会経済的要因であるとも言われる。世界の医療団の活動では、特に高血圧症、糖尿病、慢性呼吸器疾患を対象としている。



活動のポイント


●対象者は非感染性疾患のリスクが高い、または、すでに罹患している40歳以上
難民キャンプ内 3,200人、ホストコミュニティ 5,120人

●啓発活動はロヒンギャ難民やホストコミュニティのボランティアが行う
彼ら自身が問題意識を持ち、知識を得て、それを伝えていくことがコミュニティ全体の健康の維持・増進につながる

●活動の前後で知識・態度・行動について情報を収集し、活動の効果を測る(KAP調査)
KAP調査とは、たとえば、喫煙という生活習慣の場合、
知識…喫煙がもたらす非感染疾患のリスクやこれによる二次的合併症への知識
態度…喫煙をやめる意思や態度
行動…禁煙に対する具体的行動(喫煙の有無、喫煙回数、禁煙期間等)を調査すること


“私はボランティアとして、日本の皆さんがロヒンギャをたくさん支援してくださっていることをよく知っています。帰還が叶うまでどうか支援をよろしくお願いいたします”
(世界の医療団とともに活動するロヒンギャ難民ボランティアの言葉)




< ご支援はこちらから >

非感染性疾患の予防は子どものときからの生活習慣や食生活が関係しています。今後の課題のひとつとして、若年層への啓発が挙げられます。活動を継続し、拡げていくため、ぜひ皆さまの力をお貸しください。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。

rohingya
©MdM Japan

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。