「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー

世界の医療団のボランティア看護師として、震災復興のためのプロジェクトの開始当初から現地に入り、「心のケア活動」(ニココロ・プロジェクト)等に携わってきた関本史恵看護師のインタビューです。

「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー ◆看護師になったきっかけ、世界の医療団に参加したきっかけ
看護師になろうとしたきっかけは、受験の時です。その時は、自立して自分が生きていく一つの手段として考え、また人のことを勉強していく分野なので、その方が自分に合っているかな、と思った気がします。

震災が起きてすぐ自分が役に立てる場を探していたのですが、病院に勤めていなかったので、なかなかチームとして活動することが出来ませんでした。いろんな人に「(チームとして活動できる場を)探しているんだけど」と言ったら、最終的に世界の医療団のスタッフの女性が岩手県での活動を紹介してくださいました。最初は、避難所に行き、自分は何が出来るのか分からなかったのですが、既に基盤を作っていた森川すいめい医師や森岡医師、赤崎看護師に引っ張ってもらいながら、避難所をまわって声をかけて、ということをやっていました。できることを何も考えずやっていた、という感じですね。

「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー
◆変わりつつある現場の課題
仮設住宅に入るまでは、多くの方が「まずは仮設に入ること」を目標にしていたと思います。

今は復興住宅が徐々に建設され、 仮設住宅から復興住宅へ移る方もでてきていますが、今後は、経済的事情などで仮設を出る目途が立たない方、お一人の方、ご年配の方など 、仮設を出ることが出来ない方々が孤立化して きて、メンタルの部分で全然違う 辛さがあるのかなという気がします。なので、その方々が自分で生きていこうとするお手伝いをさせていだだきたいと思っています。

「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー
◆今、現在の主な活動内容
集会場で社協さんの開催するサロンの場で 、メンタリティをサポートするための「眠りのコツ講座」を主に森川すいめい医師と実施し、その中では「眠り」について知識を深め、悩みを共有する場を作りました。それが仮設集会所を一巡した後は「健康のツボ講座」に移行し、それも今大体一巡してきたところです。


◆「眠りのコツ講座」の手ごたえ
最初は、寝酒を飲んで寝ようとされる方や 、「睡眠薬飲んだら、体に良くないんじゃないか」というイメージを持っている方に出会いました。「睡眠薬よりもお酒の方がいいんじゃないか」みたいな思い込みがあったようです。繰り返し、お酒を飲めばこういうデメリットがあって、だけど睡眠薬をこういう風な飲み方で正しく飲めば癖にならないし、減らしたいときはこういう風にすればいいし、という様な具体的な睡眠薬の飲み方の話もしていきました。

その結果、「眠り」に関しては、後半はアルコールより睡眠薬の方が安全だという考えが普及したと思います。どこの病院のどの先生に相談すればいいかという情報も提供しました。あとは、眠るためには自分なりの運動が大きな助けになるということも体験を通して伝え、最終的には皆さん「眠り」についてより理解していただけたように思います。

「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー
◆「眠りのコツ講座」と「健康のツボ講座」の違い
「眠り」は対象とする方々がはっきりしています。「眠りのコツ講座」と書くと、眠れないからどうしようという人達に集まって頂けるのですが、眠れている人にとってはあまり魅力的ではありません。「健康のツボ講座」はもうちょっと門を広げ、「眠りのコツ講座」に来られない人達にもっと来て頂きたいから、広いタイトルにしました。

結果として、良い面でもありこれからの課題でもあるのですが、参加者は、みんなと交流しながらやっていく意欲のある方たちばかりが大半でした。「健康のツボ」というのは「眠り」みたいにフォーカスがなかった分、意欲が持てずに本当に困っている方たちが参加しにくい面もあったのかなと思っています。

一方で、地域でコミュニケーション能力が高く意欲のある 方たちに、より知識と体験を増やしていただければ、その人達が仮設で出てくることが出来ない方たちを気にかけながら、私達の代わりにここで得たものを周りに伝えてくれるという思いがあります。また、この講座を共催してきた大槌町社会福祉協議会のみなさんも一緒になって講座の内容を伝えてくださればいいなと思っています。私達が現地にいない場合でも、社協さんが私達の講座の知識を持っていれば、地域の方々に「私眠れないのよ」と言われた時でも、「ここはこうしたらもっと楽になるよ」と伝えることができるからです。


「東北ニココロプロジェクト」関本史恵看護師インタビュー◆今後、望まれる活動
地域の方たちを支える社協さんだったり医療者の方だったりそういう支援者の方々が、震災後いっそう頑張ってくださっていますが 、例えば眠りに関して言えば、睡眠薬以外の「眠りのコツ」を紹介することにより困っている方を助けることが出来るかもしれません。つまり地域の支援者の方たちの引き出しを増やすお手伝いです。また、今の活動のほかに、「コミュニケーションのとり方」の理解を深めることも地域のメンタリティのサポートには役割を果たすでしょう。住民同士や地域内でのトラブルが起こった場合にも「この人と話して、この人と話して・・・」というスキルを持っていれば、様々な問題を解決できるかもしれません。


◆現場からお伝えしたいこと
一人になってしまったお年寄りもそうだし、社協さんもそうだし、地域の保健師さんもそうだし、仕事は増える一方で、大槌町に住んでいる全ての方が大槌町を良くしていくために頑張っていらっしゃいます。そのおかげで、ある部分では震災以前よりも、さらに良いコミュニティを作ることも可能だと思います。今は仮設住宅に住む方たちだけ なのですが、健康の大切さと体とこころのつながりについて意識をみんなが持つことで、だいぶ変わってきたと思います。よりよい地域といったら意味が広いですけど、そういう大槌町になるために、私たち現場に行く人間は、努力していきたいと思うし、またそれを支えて頂ければ、すごくありがたいです。
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