ウクライナの皆様

日本にいる皆様

そして戦争を起こしたくなかったロシアの皆様

今回の一方的で不条理な武力紛争によって多くの命が奪われ、負傷し、生活が破壊され、人びとが深い悲しみと怒り、大きな不安を抱いています。
ウクライナの人々、この武力紛争にこころを痛めている世界の人々、多くの人が憤りや不安を覚え、落ち着かない時間をすごしています。
そして今なお紛争やテロに見舞われている、シリア、アフガニスタン、エチオピアやサヘル地域の平和も私たちはいつも願っています。出口が見えない度重なる大きな被害は関わる人々のこころに深い傷を与えています。そのようななかで、今私たちにできるこころのケアについて発信致します。


今回の戦争によってとても多くの人が、それぞれの置かれている状況によって、様々な影響を受けていると思います。自分自身ではどうにもできない圧倒される出来事にこころを痛めていることと思います。
少しでも、こころの助けになることを願い、こころのケアの考え方をまとめてみました。
(トラウマインフォームドケアの考え方をベースにしています)

文責 精神科医 森川すいめい



4つのR



≪まずは不調が起こることを知ってください(Realizes)≫

まずは、誰もが今回の戦争によって、こころや身体、行動に何らかの不調が起こることを知ってください。
不調の起こり方は人それぞれ異なります。イライラしたり、眠れなかったり、頭痛やめまいが起こるかもしれません。人によっては自分を責めてしまうこともあります。しかしどうか、自分を責めないでください。





≪どんな不調が起こるかを知ってください(Recognizes)≫

不調は、こころや身体、行動に現れます。
眠れない、悪夢を見る、何も考えられない、不安で落ち着かない、意欲が起きない、小さな音でびくっとする、怒りっぽくなる、感情がわかない
頭痛、吐き気、じんましん、体がだるい、喘息が悪化する、
嫌なことを思い出しそうな場所や人を避けようとする、
学校に行かない、暴れる、勉強に集中できない、ひきこもる
人よっては自分を酷く傷つけたり、他人に攻撃したりしてしまうこともあります
飲酒量が増えたり、薬物を乱用してしまうかもしれません。





≪これらは自分のせいではありません(Responds)≫

自分を責めたり、またはそのような状態にある人を怒ったりしないでください。
もしも友人が、お子さんが、職場の仲間がこのような状態にあったら怒ったりせずにじっくりと話を聞いてあげてください。少しでも楽しい時間を一緒に作ってあげてください。
学校の先生も、警察官の方も、医師も、どうかこのことを大切にしてください。
お酒や薬物は、一瞬自分を楽にするかもしれませんが良い対処方法ではなく余計に苦しさを増しますので手を出さないようにしてください。





≪こころの傷が深くならないようにしてください(Resist-re traumatization)≫

自分自身を大切にして守ってあげてください。
たくさんの偽情報があります。心配で情報を全部見たいと思うかもしれませんがたいていの記事や番組は、こころや感情を煽るように作られています。本当につらいときはそのような情報からはいったん離れてください。
周りの人は、苦しむ人を見かけたら、その人をさらに追い込むようなことは決してしてはいけません。どうか一緒に、良い時間を過ごしてください。





こころが少しでも楽になるために


できるだけ規則正しく生活してください
1日20分くらいの散歩をしてください
良く寝てください
しっかりと食べてください
気分を変えるためにお酒や薬物の乱用は避けてください
深呼吸を忘れずに
自然の中を歩いてみてください
ゆっくりお風呂に入ってください
良い香りを見つけてください
マッサージを受けたり、自分でしたりしてみてください

※こころが楽になるための方法はたくさんありますので、ぜひご自身で探してみてください。



苦しむ人の助けになるために周りの人ができること


できるだけ早く助けてください
助かるまで手厚く関わってください
具体的に必要なものがあれば、その支援をしてください
表出した行動に対して、怒ったり、排除したりしないでください
話したいことをよく聴いてください
話したくないことを無理に話させようとしないでください
解釈したり、分析したり、診断したりしないでください
良かれと思ってその人に嘘をつかないでください
その人の意思を尊重し、その人が自分で選択できることを助けてください
対等であり、対話的であることが大切です
支援をする人が勝手に結論を出すことは避けてください
痛みを持つ友人や、仲間、家族と一緒に優しい時を過ごしてください
文化や、歴史、ジェンダーの問題を理解し、尊重してください



各機関の方やご家族様へのお願い


学校、会社、地域、警察、行政、家庭など、それぞれの場所で、心の傷のことを良く理解し、どうしたら安全、良い時間を作ることができるか、良く話し合い、そして実行してください


この考え方は『トラウマインフォームドケア』に基づいています。
より詳細を知りたい方は大阪教育大学の以下リンク先がとても参考になります。
子どものこころのケア(トラウマインフォームドケア)

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