ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4
日本では、子どもが病気になって医療機関を受診することは当たり前になっている。しかし、レポート3で詳述したように、医師のいないヘルスセンター(保健センター)がほとんどで、郡の医療の中核となるべき郡病院でも医師不足、といった状況のラオスの農村部では、小児医療に対する十分な知識をもつ医療者はいないに等しい。これまでの活動で、小児の健全な成長を観察するために不可欠な体重測定ひとつをとっても正確に測定できているか、また、院内感染を防ぐための手洗い習慣、消毒習慣など基本をひとつひとつ指導していく必要がある状況であることは明らかになっている。この知識不足にくわえ、小児の身体サイズにあった医療備品が必要な場面でも、成人用で代用されていることがほとんどであった。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4
本プロジェクトでは、対象であるヘルスセンターと病院、それぞれのレベルに合った最低限の小児医療備品を提供し、スタッフがそれらを正確に使用し、適切に維持管理できるような指導を試みている。具体的には、去年から各施設の医療備品の不備などのリサーチを開始。小児の診療に最低限必要な機材を発注し今年の5月に納品されたため、6月には研修やヘルスセンターの監修に加え、この医療機器の配布も開始した。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4
一方で、IMCI(統合小児疾病管理)と言われる、医療環境が整っていない低所得地域において、小児の死亡原因の上位を占める疾病に焦点をあてた鑑別診断方法をWHOとUNICEFが開発・普及しており、それを学んだ医師の意識は高まりつつある。2012年12月の訪問時、私たちが活動をともにするスクマ郡病院の院長先生が、小児専用の診察室を設置したいと準備を進めていたのがその例だ。今回訪問した時には、もと院長室が移動し、小児診察室として使用されていた。もちろん診察の質が大切ではあるが、環境を整えることも関係スタッフの意識を高めていくことに貢献すると考えている。このスクマ郡病院小児診察室に設置予定の医療備品の配布も2013年6月に行った。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート4
7月には全施設への配布が終了。いよいよ人材育成の本格化である。

<写真解説>
写真1・2・3

マクミーヘルスセンターに医療器具を運搬しているところ。メディカルオフィサーと郡保健省スタッフが監督に入った日に、同時に贈呈式をおこない、使用方法の簡単な説明も行った。偶然だったのか、器具を運び込んでいる最中にも次々と患者が訪れ、診察(とそのモニタリング、アドバイスなど)を優先しているうちに3時間ほどがあっという間に過ぎた。
写真4
スクマ病院での贈呈式右からスクマ郡病院、郡保健省、県保健省スタッフ、MDMメディカルコーディネーター

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