シリアとその国境における活動最前線 その2



シリア革命から21カ月

シリア革命の開始から21カ月が経過した。しかし、爆撃や暴力は収束の兆しすら見えず、人口密集都市(ダルアー、ホムス、アレッポ、ダマスカスなど)で暮らす人びとは、爆撃と暴力に日々怯えている。この状況に対し、人々は逃げるという選択肢しか持ち合わせておらず、実際、シリアでの国内避難民は120万人に及ぶと言われている(国連発表)。

基礎医療の提供、爆撃の被害者の支援

世界の医療団は、10月にシリア西北に、国内避難民に対して基礎的な医療を届けるべく、5000人を収容できるセンターを設立した。トルコの国境に近くにあるこのセンターでは、毎日100人ずつの新たな避難民を受け入れており、その多くは女性と子どもたちである。

また、シリア国境に半年前に設立された『術後・リハビリセンター』に対しては、技術面での支援をしている。このセンターでは、これまでに1,200人以上の患者を受け入れており、患者のほとんどは、爆撃で傷を負い、人口密集都市から辿りついた一般市民である。現在も、77人に対し、治療を続けている。

医療物資と医薬品の提供、シリアの医者・ボランティアのネットワークへの支援


人口密集都市で、医者をはじめ医療従事者により組織されたネットワークを支援している。ネットワークがあるお陰で、大爆撃時の緊急支援体制、及び、喘息、糖尿病、心不全のような慢性疾患に関する地域のニーズを明確にすることができる。政権による抑圧手段は、医薬品の物流への邪魔にまで及んでいるため、私たちはネットワークへの医療物資、医薬品などの物質面での支援を2012年4月より継続している。
また、拷問、暴力、強姦などが日常茶飯事となっている街で、断水や停電断続的に繰り返す環境下で生活することを余儀なくされている人々の精神的なダメージは、はかり知れない。一般市民に対する「こころのケア」は優先的な課題であり、積極的な支援を続けている。

ヨルダンとレバノンでのシリア難民の支援

ヨルダンとレバノンでは、私たちは2012年はじめより、基礎的な医療とこころのケアを無償で提供している。数ヶ月前からは、ヨルダンのラムサ、ザアタリとキングアブダッラーパークのシリア難民に対しての支援も開始している。

ヨルダンのラムサでは、予防接種にともなう診察を担い、医療センターの医薬品と医療用品の供給を管理し、ヨルダンのザアタリキャンプに8月に開設したセンターでは、既に3万人以上のシリア避難を受け入れ、基礎的な医療を提供している。呼吸器感染、皮膚病、さまざまな怪我や下痢などの症状が多く見られる。こころのケアを必要とする患者も少なくない。

キングアブダッラーパークは今年の半ばに設立されたキャンプである。そこでは、およそ1,500人シリア難民がプレハブ住宅に住んでいる。ヨルダンの保健省をサポートすることを通し、基礎的な医療を提供している。

写真 Agnes Varraine Leca 

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