©Kazuo Koishi

5歳の誕生日を迎えられなかった子どもたち

日本では治療できる病で、ラオスの子どもたちは命を落としています。
ベトナムとタイに挟まれた国、ラオスの子どもたちが5歳になる前に死亡してしまう確率は、日本のおよそ20倍*1。アジアの周辺国に比べても5歳未満児の死亡率が最も高いラオスでは、下痢や肺炎など日本では治せる病で命を落としている子どもたちがいます。

病院には連れていきたくない


ラオス北東部の山岳地帯に位置するフアパン県は未整備の道路が多く、数少ない医療施設に行くためには、車が必要でガソリン代がかかります。ラオスの中でも貧困率が高いフアパン県では、金銭的負担を嫌う父親たちが多いため、子どもを病院に連れていきたがらないことが多く、治療を受けさせる気が無い人もいます。
村の薬局で薬を入手できても、結果的に病状を悪化させてしまい、手遅れになってから病院に運ばれることも。また、運良く病院で診察を受けられても、医療従事者の治療が心もとなかったり、患者への配慮を欠く対応があることで、医療に不信感を持つ人が多くおり、病院からますます足が遠のいています。
ラオス
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小児医療の知識を持つ医療者が足りない


そもそも、ラオスでは医療従事者が不足*2しており、また彼らの小児医療に関する知識、技術も十分ではありません。ラオスのGDPに占める保健支出の割合はわずか2%*3で、育成機関の数は限られ、就業後の技能向上の機会も不足しています。医療施設には医療従事者が2~3人しかおらず、医師がいないことさえあります。設備も雨漏りしていたり、水道が安定して出なかったりと、医療者がしたくとも感染管理が困難な状態です。ラオス保健省が推奨している基礎的な医療機材が揃えられない医療施設も多く、医療従事者は基礎的な医療機材の扱い方すら身につけられないのです。

小川亜紀駐在員ラオス事務所小川亜紀駐在員からのメッセージ

今のラオスには、病院に行かない人がたくさんいて、適切な治療を受けないために命を落としています。医療設備を整え、レベルの高い医療従事者が増え、医療に信頼感を持ってもらえれば、彼らも病院に足を運んでくれるはず。ラオスの人々が自分たちの手で自分たちの健康を守れる保健システムを作っていけるように、日々活動しています。


医療者の育成~気づきを促し、経験を共有する


ラオス
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現在世界の医療団が精力的に行っているのが、小児医療の専門知識を身につけた医療従事者の育成。
看護師が単独で医療行為を行うラオスでは、小児医療に関する知識の底上げが必須です。地方では、学校を卒業してから医療施設に配置された後、レベルアップ研修を受けていない医療従事者が多くいます。
彼らが根拠を持って治療に臨めるように、振り返りによる気づきや経験を共有する場を積極的に設けています。同時に、農村内で健康啓発を行ってくれる現地ボランティアも育成。妊娠しても一度も検診を受けないまま、未だに3人に1人は病院外で出産しているラオスで、産前産後の検診や新生児検診の重要さを伝えてもらっています。

人々から信頼してもらえる医療システムを目指して


ラオス
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病院受診が少ないのはなぜ?病気になった子どもを連れて相談しに行こうと思える場所はあるの?

基礎的な医療器材が揃っている清潔な医療施設を身近なものにして、命を救える場所を提供したい。医療従事者の知識向上を促し、現地に根付く持続可能な医療体制を築き上げたい。健康啓発活動を通じて、人々の健康に関する意識を高め、手遅れにならない段階で病院に行こうと思ってもらいたい。

ラオスの人々から信頼してもらえる医療システムを、世界の医療団と一緒に目指していただけませんか?




支援金の用途


 ☑ 小児用を含む、基礎医療機材購入費用
 ☑ 水道設備を備え感染管理のできる医療施設の修繕費用など
 ☑ 医療従事者の知識・技術向上研修等の開催費用、健康啓発ボランティアの研修費用





一人でも多くのラオスの子どもたちが5歳の誕生日をお祝いできるように、
世界の医療団は長期に渡り、粘り強くこの事業を行っています。
皆さまの温かいご支援が、活動の大きな支えになります。


*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


*1. 5歳未満児死亡率:出生1,000人あたりラオス47.33人、日本2.49人(WHO、2018年)
*2. 人口1,000人あたりのラオスの医療従事者数 0.49人(WHO、2014年)
*3. GDPに占める国の保健支出:日本はおよそ10%(WHO、2017年)

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