©Arnaud Finistre

世界でもっとも新型コロナウイルス感染リスクとその影響が高いとされるロヒンギャ、MdMのロヒンギャボランティアたちが語ってくれました


「キャンプ内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が確認されてからというもの、マーケットや人が集まる場所での密着を避け、食料などの配給場に行く時はマスクを着ける、手を洗う、お互いに距離をとるようになってきました。日用品や薬を扱う店舗以外は閉まっていますし、バングラデシュ当局もCOVID-19対策を進めてくれています。
それとキャンプ内の移動も自由にはできなくなりました。私たちが活動するキャンプでは約3割の人々がシェルターにとどまっていますが、まだ状況を理解していない多くの人たちがいることも事実です」

「キャンプに居住するロヒンギャにとって、感染症対策を講じるのはとても難しいこと。私がいるこのキャンプでは、シェルターは4~5ヤード(約3.5m〜4.5m)間隔で建ち、ひと間のスペースに5~10人家族が生活しています。どう距離を保てばいいのでしょうか。それから、COVID-19の治療や検査をする医療者や設備も十分ではありません。シェルターに食料を届けてくれるような体制があれば、密集を避けられるし距離をとることでもできる。それから唾を吐く行為も」

「最近ずっと、これだけの人が密集し暮らすキャンプでどう感染リスクを減らし、どう社会的距離をとるのかを考えています。ここでは検査もできないし、消毒液すらありません。暑い季節に一日 ずっとシェルターにいられるのか、それも不安です」



「キャンプで初の新型コロナウイルス(COVID-19)感染者が確認されてから、医療設備が不十分なキャンプでは医療支援サービスも制限されています。市場にも自由にいくことはできなくなり、日用品の価格が高騰しています。
バングラデシュ政府は感染予防措置を強化しています。ただ、キャンプのロヒンギャ住民はシェルターにずっといることはできません。シェルターも避難所も暑いのです。各戸に日差し除けなどが配給されれば、まだ少しマシなのかもしれません」

「住民はみな、感染症のこと、雨季であることに非常に恐怖と不安を感じています。ここは人口密度が高く、アウトブレイクが起きてしまったらどうなるのか、心配でなりません。特に、高齢者のなかには隔離されるのではないかと疑い、診療所に行くことを拒む人たちもいます。そのような状況ですので、現在、高齢者などを対象にCOVID-19に関する予防法や正しい情報を伝える活動を行っています」

「ここにいるみんなが心配していることは、このCOVID-19危機によって帰還プロセスに遅れが出てしまうこと、私たちロヒンギャは、帰還が更に遅れてしまうことを何よりも懸念しています」

「私自身は市場や食料の配給所に行くことも正直不安です。人が多すぎます。それと以前は、人々に英語のレッスンをすることで収入を得ていました。クラス自体を休止せざるをえなく収入が減ってしまい、物価が高騰するキャンプでこれからどう家族を養っていけるのか、新たな不安を感じています」

今でも、ミャンマーではロヒンギャや特定の少数民族への迫害や暴力が起きています。ロヒンギャへの人権侵害と暴力、難民としての生活、バラバラになってしまった家族、教育も医療も移動も住む場所も、彼らは自分の意志で選択することができません。その中でも自分のために、家族のために、愛する人のために、生きるロヒンギャの人々を支援することを私たちもあきらめません。ロヒンギャとともに、バングラデシュの人々とともに、現地で活動を続けています。

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