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中村哲先生からの学び

『ポリオの後遺症を学びに来ていた中村医師と韓国の病院で一緒になりました。中村先生に助手になってもらい、熱傷瘢痕の患者さんの手術もしました。後で本をいただいて偉い方だったのだと驚いたのを覚えています。もう30年も前のことですが。
穏やかな優しい方でした。ペシャワールに行くためにロンドンで熱帯医療を1年間学んだこと、ペシャワールの人たちのこと、いろんなことを話してくれました。みんなが銃を持ち歩く銃社会にいて、周囲に銃を持った方がいいと何度もいわれたこと、でも決して銃は持たないし、病院で銃は禁止だとおっしゃっていました。
病院に逃げてきた人を追って銃を持った人が来た時も、病院内では銃は禁止だと追い返したと話されていました。静かな方ですが、いざとなると毅然と対処できる方でした』

世界の医療団日本理事 寺島左和子医師



アフガニスタンで人道支援活動中に亡くなった中村哲医師は、私たち人道支援に携わるものにとって多くの学びと影響を残してくれた、それは大きな存在でした。銃を手にせずとも、物差しでは計れないものをその地域の人たちと創るために、ともに話し、聞き、過ごすことを教えてくれました。人道支援でなくても、医療支援でなくても、戦地でなくても、被災地でなくても、それは人間の暮らしにおいてもっとも本質的な営みだったのではないでしょうか。

人々が肩を寄せる背景には憤りややるせなさがあって、そこに介入するにはお互いの信頼がなければ伝わらないし、始まらない、私たちが中村哲先生からいただいた学びです。

中村哲医師のご生前のご功労とお言葉に心より感謝と敬意を表し、ここに改めて深い哀悼の意を表します。

R.I.P Dr. Tetsu Nakamura

世界の医療団スタッフ一同


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