大震災後のハイチ農村での新しいコレラの波に対応

大震災後のハイチ農村での新しいコレラの波に対応

数週間の一時的な鎮静があったものの、ハイチでは雨季の到来の後、多くの地域で憂慮すべき新しいコレラ蔓延の波が押し寄せている。首都のポルトー・フランスでは一応の状況管理がなされているのに対し、洪水に襲われた農村地域ではコレラ流行の懸念が広がっている。世界の医療団のコーディネーターのアラン・ル・ガーネックは、「ここ数日、雨の強い時期が続いていた。数多くの村は、河の水位の上昇や地滑りが原因で、近づけない状態になっている」と指摘している。

世界の医療団は、ハイチ南西部に位置するグランド・アンセ地方で活動する数少ない医療支援団体のひとつであるが、コレラの急速な再流行に対し、警鐘を鳴らしている。世界の医療団のチームが支援している保健センターで治療を受ける患者数が、一週間で5倍のペースで増えているからだ。5月31日から6月8日の間に、新しく77人のコレラ患者が、モゴンにあるコレラ治療センターに収容された。世界の医療団は、90あるベッドの60がすでにうまっており、3人がすでに亡くなったジェレミー病院内のコレラ治療センターで医療活動に参加する準備を進めている。

また、ゴアーヴ地域も同じように懸念される状況が続いている。現在コレラ治療を担っている世界の医療団から、この地域の保健分野の管轄当局への活動の引き継ぎが行われているところであるが、農村地域であるプチ・ゴアーヴとグラン・ゴアーヴでも、コレラの再流行が始まっている。プチ・ゴアーヴでは、ここ3週間で著しいコレラ患者数の増加が見られており、医療施設も飽和状態に近い状態となっている。世界の医療団は、この地域でもコレラ治療の4施設において人材育成の支援を行っている。

先週のはじめには、ニップ(地名)にある世界の医療団のコレラ治療センターで、1日だけで38件の新しいコレラ発症のケースが認められたが、この施設には全体で40のベッドしかない。しかしこの地方においては、今のところ状況はコントロールされている様子である。

もし適切な方法での迅速な対応(訓練を受けた医療スタッフ、医療装置、薬品、財政支援など)と、ハイチで活動する医療支援団体同士の効率的な連携が無ければ、状況は悪化は必至だ。そうすると、2010年10月に発生したコレラ流行で亡くなった5342人の犠牲者数にさらなる数が加えられることとなってしまうかもしれない。

1989年から活動を開始し、世界の医療団はこれまでハイチのグラン・アンセにある6つの保健センターや、4つのコレラ治療センターや施設、そして農村地域の助産院を支援してきました。コレラが大流行して以来、グラン・アンセやニップ地方、ポルトー・フランスなどの都市圏において17450件のコレラ患者の治療に当たってきました。レオガンヌ地域では、世界の医療団は地域社会と連携してコレラに対する意識向上・予防に関する活動も行っています。

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