©Kazuo Koishi

スマイル作戦バングラデシュ2018 現地レポート

形成外科手術を必要としながらも、その機会に恵まれない患者たちに手術を行うスマイル作戦。
3月7日から3月14日、バングラデシュのダッカ郊外にて、今年最初のスマイル作戦が実施されました。
2012年より、バングラデシュでのミッションに参加する稲垣安沙看護師によるレポートです。

4年ぶり、4回目の参加となるスマイル作戦、不安いっぱいで臨む。空港で久しぶりに会うチームメイトたちは(見た目の変化はあるかもしれないけれど)、その笑顔や佇まい、スマイル作戦に向かう前のピリッとした雰囲気は全く変わっていなかった。チームメイトに会ったことで、私の中の不安の40%くらいが解消された。

今回のバングラデシュでのスマイル作戦は、2017年3月以来、およそ1年ぶりのミッションだった。そのため、現地の在庫管理のための物品整理が、私たち看護師の重要な役割となっていた。ミッション初日、さっそく現地病院の手術室の物品・機器の状態チェック、在庫室の物品整理に取り掛かった。病院では懐かしい顔にも会え、再会を喜び合いながら準備を進めていった。そうこうするうちにフランスの麻酔科医メンバーが病院に到着したが、ロストバゲージにあうというハプニングがダッカの空港で発覚!手術に必要な物品も入っていたため、コーディネーターは術前診察・スケジューリングと同時に、ロストバゲージの対応に追われることになってしまった。荷物は無事、手術2日目の朝に回収でき、それまでは在庫物品や現地からの支給品で安全な手術を行うことができた。

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病院の診察室の前では、たくさんの患者が私たちの到着を待っていた。一人一人丁寧に診察し、手術の予定を組んで行く。日本から持参した物品、現地の医療の状況や衛生環境を鑑み、命を危険に晒さすことなく、質の高い結果を残せることを目指して、一人一人に対し形成外科医3名が真剣な議論を交わす。中には昨年手術を受け、継続治療のために訪れる子もいるが、その子や親の表情には感謝や満足、期待の色が満ちている。

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手術は一日8件のペースで、細やかで正確な技術が必要とされる手術が続いた。先天性奇形がある子どもの耳たぶを、手術で綺麗に整えたのを見た現地の看護師が、「よかった、この子は女の子だから、これでピアスができるね」と。現地の結婚式では、豪奢なピアスをする風習があることを教えてくれ、医師と2人で微笑んだ。

スマイル作戦は麻酔科医の腕も一流だ。痛みをしっかり取るために、緻密な神経ブロックを行うことで、麻酔の総量が少なくて済む。そうすることで術後の覚醒が早くなり、身体の機能の回復も早くなる。両親の心配も少なくなるであろう。また、なるべく手術で嫌な思い出が残らないように、小さな子どもであっても、説明し、本人が納得して手術を受けることを促すため、現地医師、看護師と協働する姿が印象的だった。このような考え方は今後も現地に根付いて行くだろう。

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4年ぶりのスマイル作戦は、このミッションで提供される技術の質の高さと人間味の深さを再認識させてくれた。バングラデシュの子どもたちは皆可愛く、親も皆子どものことを思っている姿がうかがえる。そんなことを改めて経験させてくれるこのミッションに、また次回も参加したいと強く思う。

看護師 稲垣 安沙


スマイル作戦バングラデシュ


活動地:バングラデシュ・ゴノシャスタヤ ケンドラ大学病院
日程:2018年3月7日~3月14日

派遣ボランティア:
■日本チーム
與座聡、山田信幸、江口智明(形成外科医)
辻ノ内幸恵、稲垣安沙(看護師)
■フランスチーム
麻酔科医 2名

診察と手術:
診察件数 60件  手術件数 29件

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