©Maho Harada

日本の優れた医師たちが、無償で途上国の子ども達に手術を行う

「スマイル作戦」

先天性疾患への偏見が子ども達の未来を奪っています。


途上国では口唇口蓋裂など先天性の奇形や、火傷などの手当を受けられない子ども達が数多くいます。
命に関わる疾病ではないために、病院や医師の数など医療資源が乏しい国では治療が後回しにされてしまうのです。

しかし、「見た目が違っている」ということは、まわりの子たちからも好奇の目で見られたり、偏見や差別、いじめの対象になります。

身体の見た目が違っているということだけで、いじめを受け続ける。考えようによっては死ぬよりも辛いことかもしれず、その子の人生に大きな爪痕を残してしまいます。

©Kazuo Koishi



コラム1)日本の形成外科技術の高さ

車両

口唇口蓋裂などの先天性疾患は日本でも500人に1人発生すると言われ、生まれつきの奇形の中でも頻度の高いものです。

日本では健康保険の対象となり、赤ちゃんの時に形成外科の手術を受けることができます。
500人に1人ですから手術を受けた患者さんも多くいますが、非常に高度な形成外科技術により痕跡は残らず、手術を受けたことも分からないほどです。
日本人医師たちの高度な医療技術と熱意が「スマイル作戦」を支えています。

またチームの使命は手術だけにとどまりません。現地の医療者に技術や知識を伝えること、現地医療者の育成もスマイル作戦の大きなミッションのひとつです




たった90分の手術で子ども達の運命を変えることができます。


スマイル作戦 このような先天性、後天性の奇形や機能障害を持った子ども達に、無償で手術を行っているのが「スマイル作戦」です。

高い技術をもった日本の形成外科医、看護師たちが、ボランティアで途上国を訪れ、1週間ほどの間に30-40件もの手術を行います。

1回の手術は、およそ90分ほど。
手術により気になっていた外見を通常に戻し、身体機能を回復させることで、子ども達に笑顔が戻り、その後の運命が大きく開かれるのです。







治療

ボランティアの医師、看護師の人件費は無償ですが、1人の手術には渡航費を含め、麻酔薬、機材費、抗生物質などの医薬品、包帯などの資材など約36,000円がかかります。


毎月3,000円のご寄付を1年間継続していただくと、一人の子どもの運命を変え、笑顔を取り戻すことができます。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。



形成外科手術で治せる疾病や障害のかずかず。
しかし、スマイル作戦は障害を治すだけではありません。


スマイル作戦が対象とする疾病・障害は、先進国では発症率が低かったり、発症しても早期の治療で治るものがほとんどです。
そのような疾病や障害が、途上国では貧困や医師不足のために治療されずに放置されたり、間違った治療のため症状が悪化し、重篤化してしまったケースも多くみられます。

スマイル作戦 スマイル作戦
口唇口蓋裂 先天性奇形
胎児の初期発育段階で閉じるべき唇または口蓋の裂け目があいたままになる先天性疾患です。
ミルクをうまく飲めないため、成長に影響するだけでなく、アジアでは特に偏見の対象となり差別を受けてしまうこともあります。
手の自由がきかなかったり、足の指がつながっていたりなどの四肢の奇形。
東南アジアではサンダルを履く習慣があり、足の指が変形しているとサンダルが履けず、それだけで差別されることもあります。

スマイル作戦 スマイル作戦
火 傷 腫 瘍
途上国では調理など屋内で裸火を使っている為に、火傷を負う子どもが多くいます。
火傷は初期に適切な処置を行わないと皮膚や筋肉が収縮、癒着して、子どもの発育・成長を妨げてしまいます。
腫瘍は放置しておくと無視できない大きさになってしまいます。
良性の段階で手術をすれば治る可能性が大きく悪性の腫瘍でも手術で取り除くことが可能です。


コラム2) 野口英世の火傷でくっついた左手

野口英世

日本でも昔は囲炉裏や台所で裸火を使っていたため、ちょっとした不注意で火傷を負うことが多かったようです。千円札でおなじみの野口英世の話が有名です。

赤ん坊の英世が囲炉裏に落ち、火傷を負った左手は握ったまま癒着し、開かなくなってしまいます。
小学校に上がった英世は開かない左手をからかわれるなどのいじめを受け、一時は登校拒否にもなりますが、人々からの寄付により手術を受けることができ、左手が使えるようになります。

その後彼は医学の道に進み、黄熱病の研究などで世界的な医師になります。まさに日本版の「スマイル作戦」です。





顔や身体の奇形や機能障害は、日常生活に支障をきたすだけでなく、
教育、就職、結婚など、その子の人生で、
大切な機会を得ることを難しくしてしまいます。

しかしスマイル作戦のたった1回の手術で、
その子が笑顔と人生を取り戻すことを助けることができるのです。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


ムラッド君(バングラデシュ)
1時間で終わる手術を、6年間も受けられませんでした。


ムラッド君

上唇が裂けた状態で生まれ、
そのまま6歳を迎えたムラッド君


口唇裂で生まれたムラッド君は、6歳の誕生日を迎えても手術を受けられずにいました。
それは、彼が暮らすバングラデシュでは医師が圧倒的に足りていないから。

唇が裂けていると、普通に話すことや、食べ物をこぼさずに食べることは、とても難しくなります。そして、学校でいじめを受けたり、普段の生活でも差別を受けてしまうことも多くあります。





スマイル作戦


世界の医療団は、バングラデシュでのスマイル作戦で、形成外科医を中心とするボランティアの医療チームを派遣。

ムラッド君に無料の手術を行いました。





ムラッド君

手術の6か月後、
会いに来てくれたムラッド君


手術を受けた ムラッド君です。唇が裂けていたとは気づかないくらい、症状が改善していることがお分かりいただけるかと思います。

ムラッド君の目には光が宿り、表情も明るくなり、彼が人生への希望を取り戻したことを物語っています。



たった1時間の手術で、希望を失っていた子どもの、
その後の数十年の人生が大きく変わります。


ムラッド君


子ども達に無料の形成外科手術で笑顔を。そして人生の希望を。


無償の形成外科手術を途上国の人々に届ける「スマイル作戦」。

1989年より30年にわたり、20ヶ国で実施され、これまで治療を受けた人の数は、のべ17,000人に上ります。
高い技術を持ち、一人ひとりへの丁寧な手術を行う日本人医療ボランティア。17,000人とは、取り戻された笑顔の数でもあります。

ウィネライ君(ミャンマー)
ズェタッパイン君(ミャンマー)


多くの国で、子ども達が無料の形成外科手術を待っています。
毎回の医療チーム派遣時には、たくさんの人々が病院を訪れます。


©Kazuo Koishi


無料の形成外科手術を受けるために病院に並ぶ人びと。
ですが、全ての子どもたちに手術を行うためには、資金が足リません。

どうか、今すぐにご支援ください。
全ての子どもたちに、無料の形成外科手術と一生の希望を贈ってください。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


多くの国で、子ども達が無料の形成外科手術を待っています。
スマイル作戦を支えているのは、皆さまのご寄付と日本人医療ボランティアの熱い想いです。



寺島左和子先生

手術重ねた硫酸被害の女性


カンボジアを訪れた際、元恋人に硫酸を浴びせられたという19歳の女性を手術しました。

アジアの一部では、女性が男性から硫酸をかけられるケースがあり、スマイル作戦にもそういった患者さんが時々やってきます。この女性は顔から首、上半身にかけて熱傷が広がっていて、そのような悪意ある行いへの憤りや、若い女性が傷つけられてとても気の毒に感じました。手術は二度行いました。

帰ろうとした時、彼女が病室からやってきて、私の上にすがって泣き始めました。
感謝の気持ちのほかに、これからどうしようという不安など、言葉は通じませんでしたがさまざまな感情があふれているのがわかりました。







与座聡医師

大虐殺の傷あと生々しいルワンダへ


私が初めて参加したスマイル作戦は1996年、ルワンダでした。
その2年前に同国で起きた大虐殺では、少なくとも80万人が死亡したとされています。訪れた当時の光景は、手術も、病院も、滞在した宿舎も鮮明に記憶しています。朝、水道から出る泥水のシャワーを浴びて身支度を整え、夜まで手術の連続でした。

常に感じるのは、空気に混ざる異臭、表情の乏しい人達。自分のやった手術は役に立ったのだろうかと、今でも思います。帰国後、少しでも手術の質を高め、多くの患者を治療することを決意しました。

最初にスマイル作戦に参加した時は、勤務先の上司から「一度で良いから行ってくれ」と言われたことがきっかけだったのですが、その後ずっと続いています。信頼できる仲間がいたこと、手術に対するこだわりと好奇心が強かったのだと思います。





石原恵看護師

手術は短期戦、裏方の準備は長期戦


10日前後の短期プロジェクトですが、裏方的役割は長期戦と言っても過言ではありません。

毎回、手術器械のメンテナスが必要ですし、医療資材も調達し直します。日本から持参するのか現地で買うのか、値段の交渉や納期の調整もします。現地での「短期決戦」のために、水面下では日々の積み重ねがあるのです。






*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


©Kazuo Koishi