©Olivier Papegnies

女の子たちの手に未来を

― コートジボワールの少女たちの命と夢を守る ―

異常な妊産婦死亡率の裏に、少女たちの望まない妊娠が


妊産婦10万人当たりの死亡件数 西アフリカに位置するコートジボワールは、妊産婦の死亡率が非常に高い国の一つです。妊産婦10万人当たりの死亡件数は645人にのぼり、世界189か国中170位 *1)。

途上国の平均(10万人当たり239人)やほかのアフリカ諸国と比べてもはるかに多く、日本(同5人)と比較すると、実に129倍もの差があります。

コートジボワールの妊産婦死亡率を押し上げている原因の一つに「少女たちの望まない妊娠」があります。

識字率も低く(女性36.8%)*2)、家庭や学校で最低限度の性教育を受けることもなく、女性の体のこと、妊娠の仕組み、避妊などの生きるために大切な知識を持たないままコートジボワールの少女たちは性的な活動に入っていきます。そして望まない妊娠をしてしまうのです。妊娠した少女たちに待っているのはとても厳しい現実です。一つには、コートジボワールでは人工妊娠中絶は法律で禁じられていて、妊娠を中断したい場合には危険な中絶手段に訴えるしかないこと。そして、出産を決意したとしても、家族や社会からの理解やサポートを受けることは容易ではなく、学業へ戻り、安定した生活を営むことも、将来に描いていた夢を追うことすらも難しくなるのです。

Human Development Index (UNDP 2018):
*1)データ入手可能国中の順位 *2)総務省統計局2015



©Olivier Papegnies



少女たちの苦渋の選択



◎ジャクリーヌの場合

避妊の知識がないまま同級生と性交渉を持ち、17歳で妊娠。怒った両親から見捨てられてしまう。

世界の医療団で社会心理的なケアを受けながら、生まれた子どもを育てる傍ら、先生になる夢をかなえるために復学。




◎グッシの場合

中絶しようと、ヤミのクリニックで処方された錠剤を飲み、大量出血。

別の病院での適切な事後処理がなければ、命の危険もあった。






苦痛や困難を抱える少女たち 身を守る術を知らず、女性だからというだけで苦痛や困難を抱える少女たち。

ジャクリーヌやグッシは氷山のほんの一角に過ぎません。コートジボワールでは少なくとも年間3,692人(2015-16年)もの少女たちがこうして望まない妊娠をし、命を賭して中絶を選ぶのか、苦難を覚悟して出産を選ぶのか苦渋の選択を迫られているのです。

若くても、自分の体の事、避妊という身を守る術を知り、実際に身を守ること。若いからこそ、彼女たちが1日1日を大切に、夢や希望を持って生き生きと生を重ねていかれること。

例えばこの3,692人の少女たちに手を差し伸べることは、少女たちを取り巻く社会の全体を、そしてコートジボワールという国の将来に光をかざすことなのです。


©Olivier Papegnies


今こそ、少女たちを救え!
世界の医療団のコートジボワールでの活動


コートジボワール南西部のスブレ地区
  活動地コートジボワール南西部スブレ地区
コートジボワールで少女たちが望まない妊娠をし、命を危険にさらすか、出産後に困難な人生を歩むかの苦渋の選択を迫られる背景には様々な問題が複合的に重なり合っています。








産婦人科医の圧倒的な不足 性教育の未実施
世界の医療団が活動するコートジボワール南西部のスブレ地区には人口150万人に対し産婦人科医は1名しかいません。
家庭や学校で性についての正しい知識に触れられる機会は非常に限られています。
社会からの偏見と家族からの不理解 リプロダクティブヘルス政策の遅れ
未婚、若年、学齢期での妊娠や出産をした際、保守的で伝統的な価値観を重んじる社会や家族からは厳しい目を向けられます。
女性の権利を尊重する法律の整備は遅れており、リプロダクティブヘルスに関する政策は100年以上前のフランス植民地時代に制定された法律が現行法です。
有効な避妊用具が手に入らない ※性・リプロダクティブヘルスとは
避妊を試みようにも、適した避妊具を入手することは日常的に困難です。
「リプロダクティブ」とは、英語で生殖に関することを意味します。「性・リプロダクティブヘルス」とは、人々、特に女性の「健康・安全」と「権利」を守るという考えに基づいた概念です。


世界の医療団はコートジボワールの南西部スブレ地区で、特に少女たちを対象とし、少女たちのニーズにそった、望まない妊娠の予防と妊娠をした場合のケアを行う包括的な支援活動を展開しています。


世界の医療団のコートジボワールでの活動

◎相談、カウンセリングの実施


◎教育機関、医療機関スタッフに対するリプロダクティブヘルスに関する訓練


◎行政関係者への啓もう活動


◎現地診療所の機能の向上、受け入れ設備、体制の強化





社会に長く根付いた風習を変えることは容易ではありません。しかし、これは少女たちの健康だけでなく、いのちを守る重要な取り組みです。

私たちと同じ時代、同じ地球に生まれているにもかかわらず、これほどの困難と不公正に苦しんいる少女たちがいます。同じ女性として、女性を愛する異性として、彼女たちをみつめ、手を差し伸べていただけないでしょうか。


コートジボワールの少女たちが一人一人の生を全うするため、
息の長い、地道な活動が必要です。

皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。



©Olivier Papegnies

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