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02.06 2017

シリア:医療の崩壊とその歴史を塗り替えた痛ましい2016年


アレッポ陥落から、、、
今年に入り、街は比較的穏やかな状態にあります。アレッポ東部の人口はかつての半分となってしまいました。現在、約6万人がアレッポ東部、約5万人がアレッポ西部、約5千人がジブリーン地区のシェルターにとどまっているとされています。現在、世界の医療団ではアレッポ市内の2ヶ所、郊外では合計5ヶ所の医療施設にてプライマリヘルスを中心とした支援活動を行っています。
 
2016年12月20日
医療の崩壊とその歴史を塗り替えた痛ましい2016年
2016年はシリアにとって最悪の一年となりました。新しく採択された国連決議によって、医療施設や医療者に対する攻撃が厳しく非難されたにも関わらず、シリア国内で確認された病院、医療従事者、患者に対する意図的な攻撃は、過去最多を記録しました。国際人道法違反と不処罰が常態化しています。

繰り返される医療インフラへの攻撃
世界保健機関(WHO)の報告によると、シリア国内だけで計126回の医療施設への攻撃が確認されています。(2016年1月~9月)こうした医療施設を標的とした攻撃が悪化の一途を辿っていることは明らかであり、2016年11月、特にイドリブとアレッポでの攻撃は惨状を極めるものとなりました。12月、アレッポ東部においてもはや機能する医療施設は皆無となりました。

シリア国内では半数以上の医療施設が閉鎖、もしくは辛うじて部分的に機能しているのが現状が続いています。病院や医療施設を攻撃対象とすること、それは医療従事者や患者の命だけでなくわずかに機能する医療そのものを脅かし、多くの命が奪われるのです。

2016年、シリア国内で世界の医療団が支援を行う6つの医療施設が攻撃を受け、医療者15名、患者53名の尊い命が奪われました。

新しい国連決議
2016年5月3日、国連安全保障理事会は紛争下の医療従事者及び医療施設の保護に関する第2286号を採択しました。決議では、紛争当事者による国際人権法および国際人道法の遵守の必要性、また、医療施設や医療従事者の保護、攻撃の一切停止と攻撃についてその説明責任を果たすよう呼び掛けています。

安全保障理事会に送付した2016年8月18日付書簡において、(前)潘基文国連事務総長は次のように述べています。 「武力紛争下における医療の保護とその安全を維持するために、紛争当事者が国際法遵守するよう各国は外交、政治、経済などあらゆる手段を講じるべきである。」

しかしながら、その後も医療施設や医療従事者は攻撃の対象となっています。改善が見込まれない状況の中で、2016年11月21日、人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官ステファン・オブライアンは安保理における声明で述べています。「国際人道法上における『医療施設保護の原則』が明らかに侵害されている、つまり国連決議を完全に無視する行為だ。」

国際人道法に対する責任放棄
国際人道法のもと、各国は国内で発生した戦争犯罪について調査し、必要に応じて訴追を行う義務を負っています。医療関連施設への攻撃は、れっきとした戦争犯罪です。これら戦争犯罪を犯した実行者を調査・訴追することは国際法上の義務であり、非国家組織であってもその罪は問われなくてはなりません。2016年8月18日、もはや調査が難しいことを受け、国連は「医療の保護」への重大な違反について、事実関係を調査する調査団の派遣を検討すると発表しました。

行動を起こす時がきた
2016年11月20日、スタファン・デ・ミストゥラ国連シリア特使は記者会見にて「シリアのワリド外務大臣は、アレッポ東部やいたる所で繰り返される空爆について否認する一方で、我々の見解と大きな食い違いがある。アレッポの医療関連施設の被害状況を調査するために、国連調査団の派遣を容認してもらわなくてはなりません。」と発言しています。

国連安全保障理事会加盟国、紛争当事者にそれぞれに対し、以下のアクションを要請します:

国連安全保障理事会加盟国
・紛争当事者に対し、国際法違反に関する責任を問う緊急措置を講じること
・国連調査団または調査委員会を設置、現地への調査派遣
・人道法違反・戦争犯罪について国際司法裁判所への申し立て、または特別法廷の設置
・国連決議第2286号の実行

紛争当事者
・国際人道法、人権法、人道憲章、人道原則、医療倫理の尊重のもと、医療施設、医療従事者、患者の保護と攻撃の一切を停止すること
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